デートみたいな?

「珍しいね。 ……彼氏?」
「残念でした。お友達です。」

香ばしい豆の香りが漂よってくる。
この時間が大好きだ。

「来て早々悪いんだけどこっちのモカ、隣に配達してくれない? 今日は誰も居なくって。」
「日曜なのに?」
「うん、まあね。」

モカって事は、珪くんお仕事なんだ。
佐伯くんに断って店を出る。
隣のビルに入り スタジオへ。
ちょうど 休憩中の珪くんがソファーに座っていた。

「ありがとうございます!アルカードです!ご注文のコーヒー届けにきました!」
「天音、……デートか?」

なんでいきなり??

「と・も・だ・ち!マスターといい なんでそうなるかなぁ!?」
「……そりゃあ まぁ……。見に行くか……。」
「来なくていいよ!!って言うかダメ!」
「どうして?」
「どうしても! じゃ 私行くね!」
「なんだ……残念。それからサンキュな?」

残念がらなくていいから〜、とスタジオを後にした。
店に戻ると二人が何か話してたらしく、佐伯くんが複雑そうな顔をした。

―――なんだろう?

「あっちでもデートかって!なんでそうなるんだろ?」
「あはは そりゃあそうだろうねぇ。彼氏が出来たのかと思うんじゃないかな?」
「だから 違いますって!そんなの佐伯くんに悪いもん」
「本当に?」
「彼氏じゃないです!」

ね?佐伯くんと顔を見れば、なんか考えてるらしく少し上の空で 『いや?』とか『あぁ。』とか曖昧な返事。

―――なんだろ?

「はい。 おまたせ。今日は 天音ちゃんが初めて友達連れて来てくれたから、特別ね。」

そう出されたコーヒーは物凄く香りがいい。
佐伯くんが、かなり驚いてるから凄いんだろうなぁ。

一口飲んでみたらやっぱり凄く香りがよくて、独特の苦味が強いけど甘味もあってバランスがいいと思う。

私は 酸味が強いのを飲むことが多かったけど これも好きだな。
prev 3/8 next

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -