アクシデント

なんでだろう……。
佐伯くんが視線を逸らしている……。

もしかして 何処か怪我したとか!?

「佐伯くん!!」
「なっ、なに!?」
「何処か怪我しちゃったの?」
「いや!? べつにっ?」

なんとなく挙動不振だけど なんともないなら よかった……。

「……行くか……。」

今度はゆっくりと歩いてくれた。
それから 開店してもなんだか様子がおかしくて。

やっぱり 怪我してるとか?

お客様も居なくなった時 ちゃんと訳を聞こうとしたら―――。

「ただいま。すまなかったね、2人とも。」

マスターがひょっこりと帰って来た。
いつもと違う佐伯くんに気付いて 私に聞いて来たからさっきの話しをした。

「まぁ、しばらくすれば大丈夫でしょう。
天音さんが気にする事はないですよ。
それよりも、怪我がなくてよかったです。」

そう言って笑っていた。
本当にそうならいいんだけど。
帰りも送ってくれたんだけど 会話といえば……。

「おまえってさ、小さい頃ここに住んでたんだよな?」
「うん。5歳くらいの頃に少しだけ。」
「そっか。」

たったそれだけで。

あの時からおかしい。
落ちた私を受け止めてもらってから。

そういえば、唇に柔らかい感触があって目を開けたら、赤い顔の佐伯くんが口元に手を……。

―――!!!!――――

その時初めて 佐伯くんがおかしかった意味に気付いた。

私……佐伯くんとキスしてたんだ!
―――だから………。
……どうしよう……。
今夜は眠れそうにない。

天音side,end
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