アクシデント

置いて行かれないように、小走りでついて行く。

「ちょ ちょっと歩くの早いよ!」
「これくらいで普通だろ。それに店開けなきゃなんだから。」

それはわかってるけど!

「こっちから行くぞ。近道だ。」

砂浜へ続く階段を駆け降りていく。
私も続こうとしたら 砂で足が滑った。

「きゃ…!!」

思わず体重を前にかけたら 踏ん張り切れなかった。

落ちる―――!!!

ダメだと思って 目を閉じる。
自分の身体が宙に浮いて 落ちていく感覚が スローモーションで感じて………。
誰かの胸の中に抱き留められた。

「大丈夫か?」

耳元で優しい声がする。

そうだよね。
下に居たのは佐伯くんなんだから 彼が受け止めてくれてるんだよね……。働かない頭で ぼんやり考える。

「だ…いじょ…ぶ」

やっと出た声で返事する。
でも 言葉と裏腹に涙が出る。
怖かった。
でも 心配かけちゃうから しっかりしないと……。

顔を上げると 唇に柔らかい感触がした気がする。
目を開けると 赤い顔をした佐伯くんが 目を見開いていた。

「ごめんなさい。でも ありがとう 助けてくれて。」
「おまえ……いま―――。」
「??」
「いや なんでも。 大丈…夫だったか?」
「うん。平気 どこも怪我してないよ?」
「そ………か。」
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