初出勤!

少しドキドキしながら、2番テーブルに進む。

「お待たせいたしました。珊瑚礁ブレンドのお客様は?こちらは ブラジルブレンドになります……。……ごゆっくり おくつろぎくださいませ。」

こんな感じでいいのかな?

振り返ると ぽかんと佐伯くんが見ていて、マスターがクスクス笑っていた。

―――なんで??

何か間違っていたんだろうかと思いながら、マスターに近付く。

「天音さんは コーヒーに詳しいんですね?」
「あ。好きなんです。」
「それにしても、香りだけでわかるなんてたいしたものだ。瑛もそう思うだろ?」
「あぁ……、 まぁ……。」

なんかわかんないけど 褒められたって事は、辞めなくていいのかな?

閉店までは 一生懸命すぎてあっという間だった。今日は いつもより少し終わるのが早いらしい。

「天音さん。どうでしたか?」
「とても 楽しかったです!でも すみません。足手まといですよね?」
「いや そんな事ないですよ?初日にしてはたいしたものです。今、瑛がコーヒー淹れてますから、召し上がってください。」
「うわぁ ありがとうございます!」

やった! ほんと言うと飲みたかったんだよね!

喜んでカウンターに座ると、なぜか難しい顔した佐伯くんがコーヒーを出してきた。
さっきから こんな顔ばっかりしてるけど、私何かしたのかなぁ?

「はい……、どうぞ。」
「ありがとう。……いただきます」

カップを持ち上げて本当に驚いた。
―――この香りって……。一口飲んでみる。

……やっぱり。

「すごい こだわりあるんだね……。これって手に入りにくいでしょう?」

そう言いながら佐伯くんを見ると、目を見開いている。

「銘柄、分かる?」
「セントヘレナ、でしょ?」

答えると マスターが笑い出した。

―――なんで??

佐伯くんはまた難しい顔をして、片付けを始めた。

も〜〜、 意味分かんない!!

ゆっくり味わいたいけど手伝わないわけにもいかないから、慌てて飲み干してモップを手に取った。
あ〜〜勿体ない! 滅多に飲めないのに。

帰りは、マスターに言われて佐伯くんが送ってくれた。悪いと思って断ったんだけど、またチョップされた。

やっぱり 痛い。

今度からは走って帰ろう……。そう心に誓った。

天音Side continue..
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