気まずい日々と贈り物

「ほんまは用意してなかってんやけど、たまたま渡すつもりやったMDがあったでお返しとかゆーとんのやろ?」
「いっ!?」
「なんやのん。図星かいな。天音、騙されたらあかんで?」

はるひちゃんが、私の肩に手を置いてうな垂れながら首を振る。
当たっていたらしいハリーが何も言い返せずに口をパクパクさせた。

本当にこの二人は仲がいいなぁ……。

「あははは、でも、そんなつもりで渡したわけじゃなかったから嬉しいよ。本当にありがとう。ちゃんと聞いて、今度は名前も覚えるからね?」
「お、おう。じゃあな。」

これ以上ここに居たら、何を言われるか分からないといった顔で、そそくさと椅子を戻すと教室を出て行く。
その後ろ姿を見送っていたはるひちゃんが、悔しそうな顔で身体の向きを戻した。

「も〜、ハリーに先を越されると思わんかったわ。あたしらもお返し用意してたんやで?チョビが揃ったら渡そうとしてたんやけどな?」
「そうそう、男の子達はそんな事しないって言ってたのよね?」
「チョビ早よう帰ってこんかなぁ?これ以上先越されんの悔しいしなぁ〜」

ハリーにお返しを貰っただけでも驚いているのに、まさかみんなも用意していてくれたなんて……。
ただ、いつものお礼のつもりだったから……。

女の子全員からのプレゼントは、家に帰るまで開けたらダメって念を押されてグッと我慢。

その後もクリスくんや氷上くんにまでお返しを貰って。
みんながこんなに律儀だったのがとても驚いたんだよ。

そして最後にお返しをくれたのが志波くんだった。
帰りに校門で待っててくれて、途中まで一緒に帰ったんだけど。

「これ、美味かったから。」

そう言いながら鞄から出して渡してくれたのは、どう見ても和菓子屋さんの包み。
志波くんの家の近所にある和菓子屋さんで、子供の頃からよく行っているお店だって。
いつも無口な志波くんだけど、甘いものの話になると表情も豊かになる。

そのお店は洋菓子も扱っていて、普通にある和菓子屋さんと違っていろいろなお菓子を楽しめるんだって。
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