気まずい日々と贈り物

気まずいなぁと過ごす平日は、一日が長いし教室に居るのは居心地が悪い。

それに席は隣だし、おまけに今日はバイトの日。

救いなのは、学校で佐伯くんとの接点がまるでない事。
この三日間の会話といえば、挨拶くらい。
それが会話といえるかどうか分からないけど。

休み時間は女の子に囲まれてるし、お昼休みはどこかに連れて行かれてたり、私が他のクラスに居たりしてほとんど顔も合わさない。

用事があるって言ってたんだし、そんなに気にする事はないんだけど。

そう頭では分かってるんだけど、断られたの初めてだったし。
そういえば、男の子誘ったのも初めてだったかも。
いや、男の子なら珪くんや尽くんだって男の子なんだから、正確には初めてじゃないんだけど。
……なんだろう? なんか違う……、ような気がするような、しないような。

「なんだい?百面相かい、大崎。」
「へっ!?」

飲んでいたフルーツ牛乳ごと顔を上げると頬杖をついた竜子さんがじっと見つめていた。

まだまだ外は寒いから、お昼は教室で食べる事が多い。
今日は、竜子さんと千代美ちゃんの教室。千代美ちゃんは生徒会の仕事でいないのが残念だけど、竜子さんと密ちゃんとはるひちゃんで机を囲んでいる。

「……私、変だった?」

恐る恐る竜子さんに確認すると、『自覚なしかい?』と片方の眉を上げる。
私、よっぽど変な顔してたんだ。
誤魔化すようにフルーツ牛乳を一気に飲む。

「そう言えば、佐伯くんって大変よね?」

突然の密ちゃんの言葉に心臓がドキリとする。
私がさっきまで考えていた事が分かったのかと思って。
そんな私を見ていた竜子さんだったけど、不意に顔を教室の中に居る女の子達に向けた。

「あぁ、アレだろ?今日はホワイトデーだからね。モテるのはけっこうな事だけど、後が大変だね。」
「そうそう!あたしらのクラスでもそりゃあ凄かったんやで? なぁ、天音?」

そう、今朝は朝からたくさんの紙袋と女の子を引き連れた佐伯くんが入って来て、それは驚いた。
バレンタインデーの時、たくさん貰ってたからお返しも凄いんだろうと想像はしていたんだけど、よくよく考えたらホワイトデーは一人で用意しなきゃいけないんだよね?

「あれってなんか可哀想だよね?」
「なんで? 貰ったんやで、返すのは当然ちゃうの?」
「当然かどうかは分からないけど、渡す方はひとつ用意すればいいけど、返す方は全部なんだよ?」

そうなんだよ。今まで深く考えた事なかったんだけど、この行事って男の子が大変。
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