甘いのがお好き

私も一口食べながら志波くんの食べっぷりを眺める。

「ケーキだけとは限らないけどな。……大崎のはどうだ?」

「美味しいよ?……よかったら一口どうぞ?」

あまりにじっとケーキを見つめるから、志波くんの前にケーキ皿を動かした。

『じゃあ、遠慮なく。』そう言って一口食べて私の前に皿を戻す。

「これは買い、だな。」

「そんなに美味しかった?」

「ああ。この3つは買い、だな。」

今食べたのに買って帰るんだ。
それも3つとも。でも今『3つは』って言ったよね?

それって、他にも買うって事なのかな?
もしかして家族の分もだからなのかな?

志波くんの少ない言葉は謎が多くて疑問だらけになる。
でも、あんまりいろいろ聞いてばかりなのも悪い気がして、同じように黙々と食べた。

「……旨かった。やっぱりケーキはここが一番だな。」

「うん。本当に美味しかった。今日はごちそうさまでした。」

「いや、誰かと食べた方が旨いからな。俺こそ悪かった、無理に付き合わせて。」

ショッピングモールの出口に向かいながら、志波くんと並んで歩く。
私の手には本の入った袋、志波くんは、たくさん入ったケーキの箱。

お店を出る時に聞いたら、家族の分じゃなくて自分の分らしい。
本当に甘いものが好きなんだ。

もうすぐ出口というところで、今日最大の謎を、思い切って志波くんに聞いてみる。

「あのね?すごく気になってたんだけど……。」

「なんだ?」

「あのね?もし、私と会わなくても、アナスタシアでケーキ食べてた?」

「ああ。……それがどうかしたか?」

「ううん。ちょっと気になっただけだから!」

たいした事ないと首を振って、また明日ねと出口で別れる。
去っていく志波くんの後ろ姿は、なんだかとても嬉しそうで……。

そっか……、志波くんって一人でもパフェとか食べられちゃうタイプなんだ。
……それに、本当に甘いものが大好きなんだ。

なんか…… 新たな発見をした。そんな感じだよね。
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