ハッピーバレンタイン 瑛Side

目覚めが悪い、今日は当たり前だけどな。

「はぁーーー。」

起きたく、と言うより学校に行きたくない。しかし、そうも言っていられない。

「よっ――!」

勢いをつけてベットから出る。
それくらいしないと、ズルズルとしていそうだ。

今日は、2月14日。世の中はバレンタインデー。
女から男に愛を告白する日だそうだ。

告白するのに、なんでチョコレートが必要なんだよ。
そんなの、ただの菓子メーカーの策略だっつーの。

そんなことも分からないバカが多すぎる。
それに、なんで告白する日を決められなきゃならないんだ。
いつでも、好きな時に好きって言えばいいんじゃないか?

俺だったら、そんな日にわざわざ告白なんかしないね。つーか、意地でもしない。

そんな菓子メーカーの策略に乗っかって、躍らされるのなんか真っ平ごめんだ。

……そんな予定なんかないけどな。

一瞬 脳裏に浮かんだ顔。
まだそんな時期じゃない、俺の気持ちも、なにより相手の気持ちが俺に向いているわけじゃない。
玉砕するのが分かってて勝負をかけるほど、バカじゃないつもりだ。

足取りも重く階段を下り店に入る。

嫌な気分を取り払うため、ゆっくりとコーヒーを淹れる。

―――ブラジルブレンド。

ちょっと気分を和らげたい。

トーストを焼き、目玉焼きにイタリアンソルトを少々。
カウンターに座って、カップに口をつけながら考える。

―――付箋に紙袋が必要か……。

誕生日なら、貰いっぱなしでいいが、この行事にはお返しの日という余計な行事もセットになっている。

気分転換したかったのに、余計重い気分で食器を片付けると店を後にする。

学校が近くなると、浮かれた女子と落ち着かない男子が増える。

校門をくぐる頃には、俺に気付いた女子どもに取り囲まれていた。

―――長い一日になりそうだ。
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