ハッピーバレンタイン

最後の最後までチョコのプレゼントを受け取ってる佐伯くんに感心して一日の授業を終える。

今日はバイトの日だけど、きっとお店でもすごいんだろうな。

いつもなら珊瑚礁に直行なんだけど、今日は家で待っててくれる人がいるから一旦帰ろうと思ってる。

急いで帰れば 一時間くらい話しも出来るし。

「それじゃ さよなら、佐伯くん。」

「え? あぁ… さよなら。大崎さん。」

はるひちゃんにも手を振って、教室を飛び出す。

「大崎君! 廊下は―――」

「ごめんなさ〜い!」

「今日は本当にありがとう!気をつけて帰ってくれよ?」

「どういたしまして!氷上くん、また明日ね?さよなら〜!」

よかった。 もっと怒られるかと思っちゃった。

謝ったけど、やっぱり走って学校を出る。

昨日よりも全速力。
私、陸上部員になれるかも。なんてね?

「ただいまっ!」

勢いよくドアを開けて、リビングに飛び込む。
走ってきたのと、部屋の暖房で空気が暑く感じる。

「おかえり。走ってきたのか?」

「天音ちゃん おかえり! はい、お水。」

冷蔵庫から出してくれたミネラルウォーターを一気に流し込む。
冷たい水が、身体の中から冷やしてくれる感じがして気持ちいい。

「はぁ〜〜 生き返ったよ〜。ありがと、美奈ちゃん。」

「そんなに、慌てて帰って来なくてもいいのに。」

「だって、今日はバイトなんだもん。その前に渡したくって……。」

冷蔵庫から、ピンクとグリーンのリボンがかかった箱を取り出して、二人と向き合う。

「ハッピーバレンタイン。珪くん、美奈ちゃん。いつも、ありがとう!」

「……あぁ。サンキュー、天音。」

「天音ちゃん、ありがとう!私からも、ハッピーバレンタイン!」

「美奈ちゃん、ありがと!」

毎年変わらない行事。二人で作って交換して、珪くんに渡して。それから……。

「尽くんはまだ学校?」

「部屋にいるんじゃない?宿題あるって言ってたし。」

「じゃあ、渡して着替えてくる!」

今度は、黄色のリボンの箱を取り出して、階段を駆け上がる。
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