ハッピーバレンタイン

スィーツの事になると、普段よりテンションが高くなる。

「明日めっちゃ楽しみにしとるでな?!」

「うん。でも、あんまり期待しないでね?」

なんだかプレッシャー。
はるひちゃんって、美味しいケーキばっかり食べてるから……。

――うん。気合い入れて作らなきゃね!

帰り道も、手順とかを考えながら早歩き。
いつもだったら、のんびり海を見ながら歩くけど、今から作るとなると時間が足りない気がして。

―――足りない材料ってなかったかな?

最初から多めに用意してあったから、タルトを倍の数作っても大丈夫なはずなんだけど……。

はるひちゃんに用意するのなら、いっそみんなの分も作ってお昼休みに食べるのもいいかもしれない。

そうすると、箱がいるよね?
小さいのは買ってあるけど、大きいのはないし。今から急いで買いに行かないと。

美奈ちゃんに、少し遅くなるって電話しなきゃ。と鞄から携帯を取り出すと、タイミングよく美奈ちゃんからの電話。

『もしも〜し?天音ちゃん?』

「美奈ちゃん!私も今掛けようかと思ってたの!」

『どうしたの?なにかあった?』

「うん。あのね?今から大きいケーキの箱を買いに行こうかと思って。ちょっと遅れるかもって電話するつもりだったの」

『大きい箱? ホール用?』

「違うの、明日みんなでタルト食べたいなって思って。」

『四角いのでいいんだね? 私が買って帰るから、天音ちゃんは先に始めてて?その方が失敗しないし。じゃあね!』

「分かった、美奈ちゃんありがと。」

最後の言葉は、美奈ちゃんの冗談。
電話の後ろが騒がしかったから、駅からだったのかな?

それなら、私は早く帰って用意を始めないと。

材料計って、室温で戻して……。
うん、ちょうどいいかも。

携帯を勢いよく閉じ、鞄に入れる。
家まで走って10分。

よし! 頑張るぞ!
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