揺らめく海の底

氷上くんと千代美ちゃんは この後塾で クリスくんはお家の用事。密ちゃんは習い事 ハリーはバンドの練習なんだって。

みんな いろいろ予定が入ってるのに集まれるってすごいね。

水族館の外で解散。
はるひちゃんは残ったメンバーで遊びに行こうかって誘ってくれたけど、私はまた今度って別れた。

休憩してる時パンフレットを見てたら 一旦外に出てもまた入れるって書いてあったから、もう一度あの水槽見に行こうかな?って。

出口で半券を見せて中へ。パンフレットとにらめっこで通路を歩く。回さないとわけが分からなくなるんだよね……

曲がるたびにくるくる回して 入り口近くにある イルカの大型水槽までたどり着く。

さっきと同じ イルカの不思議な鳴き声。
なんだか話かけられてるみたい。

階段の一番上に座って 揺らめく光とイルカの泳ぎをただ楽しむ。
きっと気持ちいいんだろうな…水の中って。本当なら自然の中で泳ぐのが一番だろうけど。

自分の足元の光の揺らぎを見つめていたら その上に突然の靴。と同時にチョップ。

「いったぁい!」

「まったく お前は!」

なんで 佐伯くんがいるんだろ?
用事があるって言ってたよね?

「見たいなら見たいって言えばいいだろ?なんで一人で戻るんだ。」

「だって……って、どうして私が戻るって分かったの?」

「……なんとなくだけど。」

ドサリと無造作に座り 足を投げ出す。

「一緒に見てくれるの?」

「……俺も気にいったし。」

「ありがと」

「これから 来たくなったらいつでも呼んでいいから」

「うん。……ありがとう」

それきり黙って二人でイルカを見つめる。

ゆらりゆらり―――

青い光が揺れて――

冬休み最後の日曜。

佐伯くんと二人で海の底―――
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