揺らめく海の底

「遅せーぞ? 何やってんだ?」

「ごめん! 初めてだから つい見とれちゃった!」

「謝る事ない。針谷がせっかちすぎるだけだ」

「そうそう! 天音チャンが見たいように見るんがイチバンやで?」

「またオレが悪者かよ!オマエら天音に甘すぎだぞ!」

いつもハリーはそう言うけど、それはみんながハリーが好きだからって思うんだけど。

「そんなん カワイイ女の子に甘なるんは当たり前やん!なぁ志波クン? 佐伯クン?」

「そうだな。針谷にしてもつまらないからな。」

「え? 僕何も言ってないんだけど……」

「あんたら…… いつまで漫才やってる気なんだい?」

先を進んでいた竜子さんが戻って来て みんなに喝を入れる。
仁王立ちの姿に 慌てて前の氷上くん達に追い付いていく。

「そんなに水族館好きなのかい?」

「うん! 水族館って言うか海が好きなの。ここは 海の中みたいですごいね!」

「海の中……ね。さっきの部屋かい?」

「ここもすごいけど、さっきは部屋全体が海みたいでびっくりしたよ」

一つ一つ水槽を覗きながら 竜子さんと話をする。
ここは南の海かな?とか、写真やテレビで見るような鮮やかな色だなとか 本当に飽きない。

クスクスと笑う竜子さんに気付いて、一人じゃないんだと顔を上げた。

「竜子さんごめんね? つい夢中になっちゃって!」

「いや。そんな大崎見てるのは楽しいからいいんだけど そろそろ行かないとね」

親指でアレと指した先には みんなが待っていた。慌てて駆け寄ると 呆れて笑う顔。

「みんな ごめんなさい!なんだか 迷惑ばっかりかけて!」

「ふふっ 大丈夫よ? それだけ楽しんでるんだもの。来た甲斐があるじゃない?」

「そうですね。大崎さんがとても嬉しそうな顔してますから 私達も嬉しいです」

みんなとても優しくて 嬉しくなる。
素敵な友達がたくさん出来たなって。

「ちょっと喉渇いたわ〜。そろそろ一休みどうやろ?」

「あぁ。それなら こっちの通路から行くといろいろあるみたいだね」

「氷上くん よく知ってますね」

「パンフレットに書いてあるからね。入り口で頭に入れたんだ」

さすが氷上くん。私なんてどんな魚がどこにいるのかって、そればっかり見てたよ。

氷上くんを先頭に 海の脇のカフェに向かう。
窓際の日当たりのいい席で 男女に別れて座る。

私は ツナと胡桃のサンドイッチとコーヒー。みんなもそれぞれに注文。
はるひちゃんはパフェにするかサンデーにするかで悩んでいた。
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