特別な年賀状

今度はちゃんと商売繁盛を祈願して なんだか楽しそうな天音に引っ張られ 無理矢理おみくじを引かされる。

―――中吉―――

これはなんとも……

「……微妙」

「え? 佐伯くんはどうだったの?」

「中吉。なんか微妙だよな」

ひょいと覗くと天音も中吉。
お互い 微妙。

「もう!覗いちゃダメだって!でも どこが微妙なの?」

「だって 中だぞ?どこからどこまでが中なんだ?基準は?」

「え? え〜っと…… そうだよね? 人それぞれだよね?」

「だろ? だから微妙。まぁ 何が出ても微妙だけどな」

「も〜。佐伯くん屁理屈すぎだよ」

呆れて苦笑いする天音の手をとり また歩く。

「商売繁盛もお願いしたし、これで大丈夫だよね!」

「あぁ。なんたって二人分だからな。」

「じゃあ 今年はすごく忙しくなるかもね!」

そう。二人分の商売繁盛祈願。
人込みにまた戻るのは危ないからと人の波から外れたところで待たせようとしたら、それは嫌だと言い出した。

「私だって 珊瑚礁の一員でしょ?出来ることがあるなら一緒にやりたいよ。そう思うのってダメかな?」

行く行かないでかなり揉めて、最後の最後にそんな風に言われた。

俺が店を大切に思うように 天音も大切に思ってくれてる。

そんな事聞いたら 駄目だなんて言えるわけもなくて。

違うか。本当はすごく嬉しくて。

同じ事を思ってくれてる。
同じ気持ちでいてくれる。

それに 一人残すのはやっぱり心配。
迷子にでもなったらとも思うし、まぁ 正月早々こんな場所で、そんな事はないと思うけどナンパとかも心配。

天音に言ったら 心配性だと笑われるだろうけど。
prev 5/7 next

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -