見上げる夜空

絶対変だと思ってたのに 案外すんなりと受け入れられて拍子抜けする。

あんなに抵抗してたのってなんだったんだろう……

その後も たくさんのお料理を食べたり おしゃべりしたり。
こんな時間に こんな恰好でみんなと会う事なんてないから 盛り上がり方が違う。

笑ってばかりで暑くなったから、みんなに断って席を離れた。

渡り廊下で少し涼む。
真冬だけどそんなに寒く感じない。
中からの熱気が出てくるから、ちょうどいい感じ。

空を見上げれば 星が輝いて綺麗。
ホワイトクリスマスにならなかったのは 残念だけど。
しばらく空を見上げていると誰かの足音。

誰かが涼みにきたのかな?と体育館の方を見ると 疲れた顔の佐伯くん。
後ろばかり気にしている。
って事は 女の子達から逃げてるのかな。

「佐伯くん お疲れ様」

「いっ!! お前か…… 脅かすなよ」

「あはは。 私からはよく見えてたけどね」

「ウルサイ。お前なにやってんの?」

「中暑くて…… 涼んでた」

「涼んでたって 風邪ひくぞ?そんな薄着で……」

そこで言葉を止めると まじまじと見つめられる。
自分の恰好をすっかり忘れてた。

「や。あの そんな見られると照れるんですけど」

「ん? あぁ ごめん。似合ってるなと思って」

「ホント?」

「え? あぁ。……似合う」

「よかった〜〜!」

今までおかしいって言われてなかったのに 佐伯くんに言われてやっとホッとした。

「でも そんな恰好じゃダメだ」

「どうして?」

「風邪ひく。これ掛けてろ」

上着を脱いで目の前に差し出されるけど そんな事したら佐伯くんが風邪ひいちゃう!

「いっ いいよ! 大丈夫だから!」

「ダメ。いいから 使え」

一歩近づくと フワリと肩に掛けられる。
見上げると 何故か真剣な顔。
そんなに心配しなくても大丈夫なのに。
ホントにお父さんみたい。

「ありがとう。じゃあ 少しお借りします」

「……え? あぁ。うん」

「そういえば 佐伯くんどうしてここに?」

「あーー 。それはだな」

「女の子に追いかけられたから。かな?」

「当たり。疲れた。かなり疲れた」

「それはそれは。お疲れ様です」

二人でクスクスと笑うと また空を見上げる。

すぐ傍の体育館では 笑い声や話し声がしてると言うのに、なんだか別世界。
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