見上げる夜空

クリスマスイヴは朝から快晴。
残念だけど 雪が降る気配はなし。

そんなに慌てる必要はないって言ってるのに、美奈ちゃんに早くから髪をセットされている。
昼前から遊びに来ている珪くんは何だか楽しそうに見てる。

「やっぱり 服に合わせて髪も甘くしないとね!」

「……そうだな」

甘くって…… 意味が分からないよ……

「ねぇ 珪くん。昨日美奈ちゃんが言ってたけど、様子見ってなんなの?」

「……まぁ いろいろ……な。そのうち わかる。」

「そのうちって……」

「……そのうち」

ちゃんと答える気はないんだね。
それで そのうちに驚く事になるんだね。

美奈ちゃんの場合 突拍子もなくて驚かされるけど、珪くんの場合だと後になって愕然とするんだよね……

今日の意味がわかるのがいつになるのかわからないけど……

なんだか イヤな予感はするよ……

あれだこれだといろんな髪にセットされ 落ち着いたのは……

「ちょっ 美奈ちゃん。これって……」

「うん! アップもどうかな?って思ったんだけど せっかくゴスロリなんだし、らしくしないとね!」

鏡に写っているのは 髪を巻かれ両サイドだけを高い位置で結ばれて…… リボンは黒の光沢のある布にレースたっぷり。な私。

「やりすぎだよ!!」

「……そうか? 靴はこれ。用意してきた」

箱の中から出てきたのは 幅広ストラップの厚底パンプス。 ヒールが太くて色は黒。

「もっとやりすぎだよ! こんなの何処で用意したの!」

「……スタイリストさんに頼んだ」

「さっすが 珪くん!」

「さすがじゃないよ!無理!絶対無理!」

「え〜? 似合ってるよ〜?ね!珪くん!」

「……あぁ。 可愛い」

それは二人とも身内だから!
こんなの 客観的に見たら変だよ!
なんとか 髪と靴を止めてくれるよう抵抗したけれど聞き入れてもらえず、時間が迫ってきて諦める。

せめて学校までは、ばれないように美奈ちゃんからロングコートを借りた。

「みんなの感想聞かせてね!」

「……ちゃんと聞いてこいよ?」

楽しそうな二人の声を背に家を出る。

みんなに会ったらなんて言われるんだろ…
なんとなく 憂鬱。
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