向き合う勇気

部屋の電気を点け髪を手櫛で戻す。
ベットに腰掛けて 溜め息。

仕事に支障があるほど考えてるなんて最低だ。

(初恋でもあるまいし……)

いや。あいつが多分初恋の相手だよな……

言い方を変えなきゃな。……そうだな。

――好きになった女の一人や二人くらいいただろうに――

(……いたか? そんな女)

とりあえず記憶をさかのぼってみる。

中学の時は――いなかったな。

じゃあ 小学生の時――も記憶にないな……

どんなに考えても 最後には天音にたどり着く。

じゃあ なにか? 俺はあの時から変わらずに天音が好きなのか?

つーか あの時会ったのだって、たった一度っきりだぞ?

それもたかだか数時間の話だ。

たしかに ここ数年は忘れてたけど、あれから今まで記憶のどこかにあったって事か?

他の女が入れないくらい?

……なんか すごい衝撃なんだけど。

たしかにこれは重症だ。10年越しなんだから当たり前だよな。

それに今までこんな感情を持った事ないんだったら、自分で持て余すのは当然か。

ゆっくり自分の気持ちに向き合うと 案外冷静になれる。

――ただ、天音を前にするとダメなんだよな。

他の男と話してるだけで胸が痛くなって、引き離したくなる。

俺みたいに誰かの事を想ってるのか……なんて気になって仕方ない。

――すごく子供っぽい感情――

今のところ 針谷とはどうなのか。それをはっきり聞くまでこの落ち着かない感情が続きそうだ。
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