私に出来る事

「前から聞きたかったんやけど、天音が勉強する理由って 何かあるん?」

「何かって?」

限定のホワイトチョコケーキを食べながら はるひちゃんの話に耳を傾ける。

「やりたい事とか なりたいものって事かしら?」

「あ〜 そうそう! 将来の夢みたいなん!」

将来の夢……か。

「……ないよ?」

「なんや 意味深な間やなぁ」

「ホントにないんだ。だから勉強してる。いつかやりたい事が出来た時に やらないよりやっておいた方がいいかと思って」

「たしかに知識は多い方がいいですからね」

「そうなんや〜 あたしも考えやなあかんかなぁ〜」

「そうよね?三年間なんて、あっという間だものね?」

みんなは将来の夢ってあるのかな?

私には まだやりたい事ってないけど、なりたいものはあるんだよね。

前を向いて歩ける人。
どんな時も笑って前に進んでいく。それだけで誰かの……大切な人の力になれる私の大好きな人。
彼女……美奈ちゃんのような 強い女性になりたいな。
誰にも内緒だけど。

でも 何をしたらいいのか分からないから 出来る事を頑張りたいんだ。
今の私なら、勉強とバイト……かな?
いつか やりたい事が見つかった時、そうやって頑張った事が自信になったらって思ってる。

「やりたい事が見つかるといいね。でも、焦る事はないんだからね?」

黙って聞いていた竜子さんが ぽつりと呟いた。
竜子さんはもう夢があって、それに向かって進んでる。凄くかっこよくて 羨ましい。

「うん。ありがとう」

そうだよね?焦らなくても、きっと自分が進みたい道が出来るはず。
私にも みんなにも。

だから ゆっくり見つけるんだ。
私が歩きたい道を。
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