私に出来る事

風がずいぶん冷たくなったよね。もう冬なんだもん。当たり前だけど。期末テストもだんだんと近づいてきた。
今日はちょっと早く家を出ちゃって いつもより学校に早く到着。

テスト前は部活が休みになるためか、生徒の姿は見かけない。

さて どうしようか……。ちょっと勉強しようかな?図書室は……まだ閉まってるよね?

教室……でいいかな?

何気なく教室の後ろの扉を開ける。
誰もいないと思ってたのに 教科書を広げている人がいた。

「……あ」
「……あ」

………佐伯くんだ………

佐伯くんって目が悪いんだ……
眼鏡かけてる………

「おはよう 佐伯くん……」

「……あぁ おはよ………何?」

席に座り教科書を出しながらも ついまじまじと見てしまっていた。

「佐伯くんって 眼鏡かけるんだね?」

「目 悪いやつは持ってるだろ。普通」

それはそうだけど…… 初めて見たよ。
なんか……機嫌が悪い?
私がじっと見てたからかな?

「本読む時は こっちのが楽なんだ」

「そうなの?でも授業中してないよね?」

「だって…… カッコ悪いだろ?眼鏡」

「そうかな? 似合ってると思うけどな」

「似合ってないんだ! あ〜 もういいから こっち向くな!気が散る!」

「わかった。ごめん」


やっぱり見てたから機嫌悪いんだ。


体を正面に向け、問題集を広げる。

昨日 ちょっとややこしい数式に出会ったんだよね。
出来るとこまでは自分で頑張れって 美奈ちゃんに言われて今日も持って来たんだ。

多分 この数式で合ってるんだよね……
でも 途中からこのままじゃ解けない……

どうやったら解けるんだろ。

問題集とにらめっこしていたら、視線を感じて佐伯くんに顔を向けた。

「どうしたの?」

「え? いや。なんでも」

「そう? ならいいんだけど」

なんとなく歯切れが悪い。
それに いつもと違う不安げに揺れる瞳。
言いたい事があるけど 口に出せないというこの瞳は嫌でも見覚えがある。
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