私に出来る事

LHRが終わった瞬間、教室の後ろのドアが思い切りよく開きよく透る声がする。

「オーッス!天音 用意できたか?」

「ハリー! 早いね?」

「善は急げだ! 行くぞ?」

「わ! ちょっと待って!」

慌てて鞄に教科書を詰め込み立ち上がると 佐伯くんと目が合った。

「佐伯くん また明日ね?」

「うん。さよなら 大崎さん」

なんとなくいつもの瞳じゃないのが 気になるけどハリーの催促の大声に 教室を後にする。

何かあったのかな?この前から 時々変なんだよね。悩みとかあるのかもしれないよね。今度ゆっくり聞いてみよう。
誰かに話せば 少しは楽になるかもしれないし。
うん。それがいい。バイトの時に聞いてみよう。
廊下は走っちゃいけないから 早足で階段の手前で待っていたハリーに追い付く。

「ハリー 早いよ」

「悪りぃ 悪りぃ。んじゃ行くぞ?」

「は〜〜い!」

学校から森林公園は 海岸線の途中から住宅街に抜けた先にある。いつもと違う景色は新鮮。

「ハリーはよく森林公園に行くの?」

「あー 曲作りで煮詰まった時とか ギター持って行くんだ。あそこは広いし、何も考えないで弾くにはちょうどいいんだよ」

「そうなんだ。たしかに広いから気持ちいいよね?」

そう。芝生広場なんてすごく広くて、のんびり出来るんだよ。
寝転がるとすぐ眠っちゃうくらい。

ハリーが教えてくれた道は、北側の入口。ここからだと その屋台が近いんだって。

私が使うのは公園通りが近い入口だから こっちは知らなかったんだね。

「んじゃ 適当に座ってろ」

「うん。わかった」

桜の木の下のベンチに座る。
春だったら 頭の上に咲くんだなぁ……
綺麗なんだろうなぁ……
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