アイドルみたい?

帰りに校門前で、取り巻きにあっさりと捕まった。

「ゴメンね。今日は ちょっと家で用事があるから。」

参ったな……。
今日は 俺が店開ける番なのに。そう考えながら目線を外すと、大崎が通りすぎようとしていた。

「やぁ 君も今帰り?」
「う うん。」
「じゃあ 送っていくよ。道、まだわからないんでしょ?」

大崎は、かなり驚いている。

―――まぁ 当然だな。

黙っちゃいない取り巻きにも、もちろんダメだしする。

「彼女、 家が近所なんだけど越してきたばかりで、まだ道わからないって言うから。」
「えっ…と。そうなの。みんな 本当にごめんね?」

どことなくぼんやりだが、頭の回転が早い。
今ので 気付いたんだ……。
話しを合わせてくれて ついてきた。

「助かった。学校でグズグスしてたら 開店時間に間に合わないからさ」
「そうなんだ。でも、モテモテだね?」
「ウルサイ。学校ではヒミツなんだよ。ウチの店 夜遅いから問題あるし。それに……。」
「それに?」

しまった。こんなこと言うつもりなかったのに。
でも、口は勝手に次の言葉を紡ぐ。
たぶん、普通に接してくれたから。

―――学校とは違って。

「ゼッタイ成績に影響がでないこと。学校では問題を起こさないこと。店を続ける条件なんだ。」
「条件って……、ご両親との約束とか?」
「まぁ そんなとこ。いけね 俺 急がなきゃ!じゃあ!」

走り出した俺に大崎が声をかける。

「佐伯くん! また月曜日ね!」

それだけなのに 何故か嬉しくて。
暖かいものが心に流れ込んだ気がした。

瑛Side continue..
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