想いを込めて

ちょっと上がった気分も、中庭に着いた時には下がっていた。
丸く円になって座っていたメンバーの中に、針谷を見つけたから。

(やっぱり居るよな)

前に集まった顔触れが座っていた。

「お待たせ!今日の主役連れて来たで?」

「今日の主役って………佐伯 お前か?」

「いや。たぶん 大崎さんの事じゃないかな?」

何気ない顔をしながら、針谷の左隣りに座る。
男全員不思議そうな顔をしてるから、たぶん俺と同じで理由もわからず連れて来られたんだろう。

「天音!ハッピーバースデー!」

「いつも 大崎さんがやってくれる事を、私達でやってみました」

「わぁ! すごい! みんな覚えていてくれたの?」

「当たり前よ?天音さんのお誕生日だもの」

「西本なんか、かなり前から大騒ぎだったんだよ」

「そんなん当たり前やん!天音の誕生日なんやで?」

女子が盛り上がるなか、静かに顔を見合わせる俺達。
誰も大崎の誕生日を知らなかったようだ。………もちろん俺も。

「ごめんなー 天音チャンの誕生日って知ってたら 何か用意したんやけど」

「ええっ? そんなのいいよ!こうやって集まってくれただけで嬉しいよ?」

「おい 西本!俺達を呼ぶんなら、ちゃんと理由言え!」

「えー? ゆうてなかった?」

「言ってない。ただ昼に来いって言っただけだ」

「そうやったかなー? あはは ごめんごめん」

悪びれもせず謝る西本に文句を言っている隙に、左に座っている大崎に聞いてみる。

「今日誕生日だったの?」

「そうなの なんだかびっくりしちゃった」

そういえば以前 秋生まれって言ってたよな。
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