想いを込めて

廊下に出ると、いつものごとく女子達が群がる。
どこかで、俺が出てくるのを見張ってるんだろうか?
そう思うくらい、タイミングがいい。

「佐伯く〜ん。お昼一緒に食べよ〜?」

「えっと ごめんね? 今日はもう決まってて」

「え〜〜? どういう事?私達の順番だったでしょ?」

どう言うべきか。前から約束………なんてしてなかったし。
つーか、そもそも順番ってなんだよ。
誰が決めたんだ?そんなの。

「あ〜〜。はいはい。ちょっとごめんな?」

「にっ 西本さん?」

「みんな悪いんやけどな?うちらが前から約束しとったんさ。やで、あんたらは明日な!」

突然割り込んで来たと思ったら、有無を言わさず俺の背中を押し、その場を離れる。
この早口と早業と、テンションの高さが武器になるとは。

「すごいんだね。西本さん」

「ホントだよね!はるひちゃんってすごい!」

「まあな〜。佐伯 あんたも言うべき時は、ビシッと言うたほうがいいで?」

「そうだね。頑張ってみるよ」

そんな事が出来るなら、とっくの昔にしてる。とは言えないから、とりあえず笑ってそう答える。

(まぁ、学校の俺じゃ無理だな)

隣では大崎が、声を殺して笑っているのが分かる。顔は背けてるけど。なんとなく。

お前 俺がそんな事出来ないのが分かってるから笑ってるんだろ。隠しても判るんだよ。

西本に見えない角度で、素早くチョップを入れる。
後頭部を押さえた大崎が、口をパクパクさせながら上目使いで睨んでいる。

(もう、痛いよってか?)

そんな顔しても怖くないんだよ。
むしろ可愛いだけだ。バカ。
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