文化祭 おまけ

文化祭おまけ ハリー編

「くそっ!!!」

今は誰もいない屋上の壁に拳を叩きつける。

「いって〜〜!」

上手くいかない時は何もかもが空回りする。

シークレットライブをやるって決めた時は、今度こそって思った。
学校の奴らの前なら出来るんじゃないかって。

即席で作ったメンバーだけど、それなりな腕を持ってる。
所詮 音なんて分かる奴なんてそうそう居ないなんて思ってたし、オレの歌さえあれば充分だと思ってた。

それなのに……

歌詞は何度も間違えるし 音程は外すし……
頭が真っ白になって ギターさえもボロボロだった。

………オレはいつもこうだ………

肝心な時に上手く出来ない。

「あ〜〜 ハリー!ここにおったんや! ライブめっちゃよかったのに残念やったな〜」

西本か………

「生徒会が邪魔しやんかったら よかったのにな〜〜」

……あれの何処がよかったって?
あんな最低なライブ 邪魔されてよかったんだよ!

あー うるさい!!
何処か静かな場所は……

西本を無視して 屋上から飛び出す。
何か言ってたけど、知るもんか。

人の居ない場所を探していたはずなのに、向かった先はやっぱり音楽室。
誰も居ないと思い込んで 思いきり開けると びっくりした天音がいた。

どうしてここにいるのかなんて聞く余裕なんてまったくなくて、関係のない天音に当たり散らす。

最初はどうしたの?なんて聞いていたけど、途中からは黙ってオレの八つ当たりを受け止めてくれた。

追い出そうとしたくせに、いざ帰りそうになったら思わず引き止めて。
でも 何も聞かれたくなくて背中を借りた。

何も聞こうとしない背中に安心して 心に浮かんだ言葉を口にする。

別に特別な思いじゃないけど、こいつがいたら 後悔や悔しさや自己嫌悪ばかりで 前に進めない小さいオレも少しは変われるんじゃないか……そんな気がした。

end→
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