文化祭

午後からも、見つかっては振り回され逃げたり捕まったり、隠れたり。
散々な文化祭も、もうすぐ終了の時間。
それでも、俺は焦っていた。

(何処かないか?身を隠せる場所)

もう 女子達に連れ回されるのは嫌だ。

(この時間 あそこが空いてるはず)

そう思いついて たどり着いたのが音楽室。
扉を開けかけた瞬間 聞き覚えのある怒鳴り声が聞こえた。

「ほっとけって言ってるだろ!もう 行けよ!」

針谷の声だ。アイツ何かあったのか?
ここは開けない方がいいか……

「わかった。じゃあ行くね?」

……今の声 大崎? なんで?

「……やっぱ 待て! こっち……座れ」

「え? うん」

「悪ィ。ちょっと借りる」

「あ うん。いいよ?」

見ない方がいいと判ってる。でも………。

少し開いた隙間から 中を覗き見ると、一つの机に背中合わせに座った二人がいた。
大崎に身体を預けている針谷。
俺から、大崎は見えない。

「天音。悪ィな 八つ当たりして」

「いいよ? 気にしないで?」

「うん サンキュ…… オマエの背中暖かいわ」

「そっか」

それ以上見たくなくて 扉をそっと閉める。
大崎と針谷がそんなに仲いいなんて知らなかった……


針谷。お前 大崎が好きなのか?

もしかして 大崎 お前も?

そこから何をしていたのか、どうやって帰ったのかも覚えていない。
気付いたら、店の近くまで来ていて……
灯台の裏側に腰を下ろす。

さっきからずっと、針谷と大崎の姿が頭に浮かんで……
胸が苦しくて………息が出来ない。
まるで……海の中みたいだ。

俺………どうしたんだろ。

いや たぶん 判ってる。この気持ち。
こんなに胸が痛いのも、苦しくて苦しくて仕方ない気持ちも。

俺 大崎が……好きだ。好きなんだ。

瑛Side continue.
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