文化祭

やっとの思いでたどり着くと、大崎の困り果てた姿が見える。
理由は……これだよな。きっと。

「なにキョドってるんだ?ハムスターかおまえは」

「あ。佐伯くん来てくれたんだ!ちょっと人手が足りないみたいで……」

「人手は足りてる。手際の問題だな。これじゃ、何人いたって回らない。効率悪すぎだ」

「う〜〜ん。やっぱり?佐伯くんだったら、こうはならないよね〜〜?」

「俺を誰だと思ってるんだ?」

「……ふ〜ん。なら佐伯くんだったら、なんとか出来るんだ?」

「当たり前だ」

「そっか! じゃあ手伝ってね!はいっ! これエプロン!」

にっこりと、いや にんまりと笑った大崎にエプロンを渡される。

絶対今の会話はわざとだ!

それを証拠に、コーヒーを運ぶ大崎はペロリと舌を出している。

(くそっ やられた)

そう思うのに、なんか頬が緩む。
文化祭なんて 参加するつもりじゃなかったのに……
………まぁ いいか。

「オーダー ホット1。ついでに3番テーブル 下げてけ。あと 洗い物は二人ですんなって言っといて」

「は〜〜い」

店に出てる時のように大崎は、くるくるとよく働いて……
俺も 店じゃないからかなり気が楽。
それに 俺と大崎の二人でよくないか?
充分回る。さすが俺。

「佐伯くん。お疲れ様!手伝ってくれてありがとう」

「あ〜 疲れた。コーヒーくれ」

「は〜い。1リッチになりま〜す!」

「とんのかよ!」

「当然です。商売は別……でしょ?ちょっと 待っててね?」

おいおい しっかりしすぎだろ?
誰だよ。あんなにした奴。
しかし 商売上手なら将来役に立つよな?
やっぱり 店やるならしっかりした奴の方が……

って!何考えてるんだ?俺!
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