文化祭

クラスの方は、着々と準備が進む。
日を追うごとに、一人二人とあぶれ出して 校門前だ 校舎入口だ 体育館だと連れ去られていく。
普通なら、文句の一つも出そうなんだけど 根っからのお祭り好きなクラスなんだろうか?
みんな 楽しそうに作業している。
かくいう私も生徒会から……と言うより、千代美ちゃんからのお願いで 今生徒会室でお茶を飲んでいる。それも 大量に。

千代美ちゃんの話だと、お客様に出すためのお茶なんだって。
私は 日本茶には全然詳しくないからわからないんだけど、お茶の葉の種類によって使うお湯の温度とか蒸らす時間が違うんだって。

密さんの方が適任者じゃないのかな?って言ったら、わからない私の方が正直な意見が聞けるからいいらしい。

玉露 煎茶 ほうじ茶 玄米茶。
それぞれのお茶を何杯も飲む。
さすがに 何がなんだかわからなくなってきた頃、他の役員に呼ばれた千代美ちゃんが

「ちょっと待ってて下さいね」

と席を立った。

(助かった……なんか お腹がたぷたぷしてる)

ソファーに座って、天井を仰いでいるとドアが静かに開いた。

(千代美ちゃん?)

もう戻って来たのかな?と首を後ろに反らすと 逆さ向いた氷上くんがいた。
じゃなくて! 私の向きがおかしいんだった。

「あの……えっと」

「大丈夫だよ。小野田くんから、話は聞いている。しかし………これは凄いな」

氷上くんは、テーブルの上に並べられた、たくさんの湯呑み茶碗を見て呆れたように笑った。

「これ 全部君が?」

「うん。飲んだよ……」

「……すまないね。小野田くんも悪気はないんだが」

「わかってるよ? 千代美ちゃんは一生懸命なだけだもん」

そんなところが、千代美ちゃんのいいところで 可愛いんだよね。
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