花屋と彼氏とコーヒーと

大きな花束を抱き抱えながら、海岸線を二人で歩く。
私の鞄は、佐伯くんが持っていてくれている。
自分が花を持って歩きたくなかったから、私を連れて行ったんだって。

別に変じゃないのに。
そんな事言ったら、絶対チョップされるだろうけど。それも、全力で。

「結構な確率で、お前の知り合いに会うよな」

「何を暢気に! 私の周りでは、佐伯くんがお店に出てる事ばれてるんだよ?」

「そうだけど…… 言い触らす人じゃないだろ?」

「もう言い触らしてるから みんな知ってるんだよ!」

「そうじゃなくてさ。」

「あ。うん そんな事はしない人達だけど。」

仲間内で盛り上がってるだけだもんね……。
面白がるから、迷惑だけど。

そんな私の気持ちを、佐伯くんが理解するはずもなく、ちょっと首を捻って考えただけで……

「なら いいだろ。」

「よくないでしょ!私の彼氏になってるんだから!」

「まぁ……いいんじゃないか?」

「どうして!」

「別に相手いないし?」

「出来てから誤解を解いてちゃ遅すぎるよ」

なんて暢気な!
佐伯くんが こんな暢気な人だとは 知らなかったよ……。

ガックリと肩を落とすと、突然佐伯くんが立ち止まった。
どうしたんだろ?振り返ると、まっすぐ私を見つめた瞳とぶつかる。

「お前は嫌なの?」

「何が?」

「その いとこに誤解されるの。」

「んー いいとか嫌じゃなくて ほっとくと暴走するんだよ。」

「俺が聞いてるのは、いいか嫌かってとこ。」

「別に嫌じゃないけど……。」

「じゃあ そのままでいいよ。そのうち 飽きるんだろ?」

何だかすっきりした顔をして歩き出した。

変な佐伯くん。絶対良くないと思うよ?
このままでいたら、きっと大変なんだから。
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