花屋と彼氏とコーヒーと

「はい。お待たせしました。代金は、次回の配達に合わせちゃっていいかしら?」

「はい。お願いします」

佐伯くんは、満足そうに花束を受け取っている。
ちらっと見ただけだけど、ブルーを基調に落ち着いた感じに仕上がってて、さすが志穂さんだなって思った。
でも! 私はそれどころじゃない。
佐伯くんと一緒にいる時に会うなんて想定外だけど、今のチャンスを逃す訳にはいかないんだよね?
ギュッと志穂さんの腕を掴む。

「志穂さんお願い!他の人の誤解を解くの手伝って!」

「もしかして 藤井さんかしら?」

「うん。私には無理だもん」

「残念ね。私でも無理よ?」

あっさりと言われて肩を落とす。
多分こう言われるだろうなとは思ってたけど、あまりにもあっさりしすぎ。

「……やっぱり?」

「小波さんと藤井さんは誰にも無理じゃないかしら?まぁ それとなくは言っておくけど」

美奈ちゃんや奈津実さんにはかなり失礼な事をスッパリと言い切る。
でも、当たってるから否定はしないけど。

「お願い!私よりは志穂さんの方が絶対聞いてくれるから!」

「諦めた方が早いわよ? そのうち飽きるでしょうし」

別に害があるわけじゃないし、いいんじゃないの?と人事のように言う。
……まぁ 人事だけど。
でも それじゃ佐伯くんに迷惑かかっちゃうよと食い下がる。

「彼が嫌だって言うのなら、頑張った方がいいけど そうじゃないのならいいじゃない」

ね?と佐伯くんに向かってニッコリと微笑む志穂さんに、佐伯くんは困ったように笑い返していた。

……やっぱり困るよね……
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