思いがけない日曜日 番外編

ショッピングモールに入ると、日曜だけあってたくさんの人。
知ってる奴に会わないようにと願いながら、よく行くインテリアショップに向かう。
あと少しで目当ての店に着くという時、「葉月珪がいる」という声が聞こえた。

大崎が好きなんだっけ?いや、あれは水島がそう言ってただけだったか。
雑誌では見た事あるけど、実物は見た事がない。
ちょっとした好奇心で人の波の間から覗き込んだ。

金の独特なヘアスタイル、端正な顔立ち、吸い込まれそうな緑の瞳。
モデルだけあって長身で綺麗な立ち姿。

(――あれが葉月珪――)

男の自分が見ても、思わず見とれそうだ。
葉月珪は一人じゃなく、隣にいる女性に柔らかく笑いかけている。
栗色のふわふわした髪で可愛らしい恰好の後ろ姿が見えた。

――この男が連れてる女って、どんなのだろう?

見つめていると、その女が葉月珪に顔を向けた。

(―――大崎?―――)

自分に一番近い人物によく似ている気がして。
そんなわけはない。なにより雰囲気だって髪形だって違う。
どう見ても、自分よりは年上だ。
隣にいる葉月珪と同じくらいに見える。
たぶん、さっきから大崎の事を考えてたから 何となく似ていたあの女の人を重ねて見てしまったのだろう。……きっとそうだ。

(それより、雑誌で見るのとはずいぶん違う表情するんだな)

と、もう一度葉月珪を見ると、何となくこっちを見ている気がした。
そんなわけはないが。
あっちが俺を知るわけがない。
俺だって実物見たの初めてだし。

(そういえば、買い物に来たんだった)

目的を思い出し、目当ての店に向かって歩きだす。
あの窓辺のディスプレイ。テーマは何にしようか。

(次のあいつのバイトの日までに、飾り付けて驚かせてやろう)

そんな事を考えながら。

佐伯Side.end
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