思いがけない日曜日 番外編

the Land of CovenantVOL2
『思いがけない日曜日番外編』

―珪Side―

土曜日に美奈子が家に遊びに来た。
午後のゆっくりした時間の中、美奈子のひざ枕でくつろぐ。
俺の髪で遊んでいた美奈子が、顔を覗き込んだ。

「珪くん。明日ウチで夕飯食べない?」

「いいけど……どうして?」

「あさっては珪くんの誕生日でしょ?家族のみんながお祝いしたいって。前倒しになっちゃうけど」

もちろん即答でOK。
美奈子の家族は暖かくて好きだ。
今年のプレゼントは何がいいかと聞くから、天音とデートと答えた。
美奈子は毎日一緒にいるんだから、たまには俺が独り占め。

もうそろそろ、俺と美奈子の傍から離れていく頃だろうから。

待ち合わせまでの道程で美奈子と連絡をとったら、かなり嫌がっていたらしい。
無理矢理、家を追い出したと聞いて笑う。

その後 駅前で見つけた天音は、俺好みの恰好をしていた。
髪を下ろし、少し化粧してちょっと大人っぽい。

(さすが俺の美奈子。完璧なコーディネート)

臨海公園は知っていたが、相変わらず方向がわからない天音の手を引いて歩く。

この手も そのうち誰かのものになるんだろうと思うとしみじみする。

公園内は人通りも少なく、ベンチに座り少し昼寝。
美奈子の次に心地いい肩を借りてゆっくり眠る。
小一時間ほどで目を開けると、光を受けて輝く波間が見える。

――天音の好きな海。

体を起こして横顔を見つめると、普段は見せない瞳をしている。

穏やかな包み込むような静かな瞳。その先には誰がいるのだろう。
prev 8/11 next

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -