思いがけない日曜日

「退屈したか?」

パチパチと何度か瞬きをして私を見つめる。

「大丈夫だよ?」

「……行きたいところあるか?」

「えっと。ショッピングモール覗きたいかな?」

「……わかった」

人込みが好きじゃないのはわかってるんだけど、買い物したいんだよね。
本当なら今日は一人で来るつもりだったし。
まだ何にするか決めてないんだけど、明日は珪くんの誕生日。
何かプレゼント買いたいな。
……本人を前にしてってのも味気ないんだけど。

「……行きたい店があるのか?」

「出来れば雑貨屋さんがいいんだけど」

「……わかった。こっちにあった……気がする」

手を引かれて歩く。
結構人が多いのに、誰かにぶつかる事もなく歩ける。
って言うか、人が避けてくれる。
もちろん、珪くんに気付いて避けるんだけど。

あれだよね?波が割れて道が出来る……。
あれ なんだっけ?

こういう状況もさすがに慣れてしまっている私は 真面目に考える。

「天音?」

「ほえ?」

「……ここ。結構いい店」

目の前に お洒落な雑貨屋さんがあった。
店先に出ている雑貨も 可愛いのがあったり、シンプルだけどデザインのいいものがあったり。

「わ! すごく素敵なお店だね」

「だろ?……で 何買いたいんだ?」

内緒で買いたいけど、珪くんを騙すなんて事は絶対無理だから、正直に話す。

「ホントは 今日珪くんのプレゼント買いに行くつもりだったんだよ」

「……プレゼント? 誕生日の?」

「うん。って覚えてたの?珍しいね」

「昨日 美奈子が言ってた」

なるほど。じゃなきゃ覚えてるわけないもんね。
自分の誕生日を。
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