思いがけない日曜日

道行く人達が 「葉月 珪よ!」と振り返る。
そりゃあ そうよね? 本人自覚なしだけど有名人だし。
ぱっと見かっこいいもんね。
ふわふわとした金の髪。端正な顔立ち。そして神秘的な緑の瞳。
それに背も高くて モデルやってるとなれば、普通の女の子なら見とれちゃうんだろうな……
……誰も性格知らないし……

「天音?眉間に皺寄せてどうした?」

覗き込まれて、慌てておでこを隠した。

「寄ってた?」

「……かなり。面白い」

ククッと声を殺して笑っている。笑うんならちゃんと笑えばいいのに!

煉瓦道は人も少なく、海風が気持ちいい。
石畳はとてもお洒落だけど、あんまり開発は進んで欲しくない。海が変わっちゃうのは嫌だなぁ。

「……人が少なくていいな」

「だね。のんびり出来そうだよね」

手近なベンチに腰を下ろす。

「海 気持ちいいね?」

「天音は 本当に海が好きだな」

「うん! 好きー!」

「……こんなに気持ちいいと眠くなる」

「わかった。適当に起こすね?」

「あぁ。そうしてくれ」

言ったと同時にこてんと頭を肩に乗せてきた。
まぁ 慣れてるからいいんだけど。
確かに最初はびっくりしたんだよね。どこでも寝てしまうこの人に。
ふわふわと風に揺れる髪を見つめて思い出す。

最初から行き先も予定なかったみたいだし、まぁいいかと海を見つめた。
キラキラと光る波を見つめているだけで幸せだし。
ここなら 珪くんが何時間眠ったままでも飽きないよね……
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