説明出来ない想い
「びっくりした?」
「……お前なぁ。」
「ごめんごめん!佐伯くん今からお昼?」
「あぁ。お前も?」
「そうなの。」
右手にある可愛い袋を見せた。
「珍しく一人なのか。」
「珍しいのは佐伯くんでしょ?私は 読みたい本あったから静かな場所探してるの。」
ふーん。一人なんだ。そっか。
「静かな場所ならあるぞ?一緒に行くか?」
「えっ? いいの?」
「お昼食べる順番なんだろ?」
行くぞと先を歩き出す。
「よかったの?たまには一人の方がいいんじゃ?」
「いいよ。別に。」
「そか。ありがと。」
着いたのは、中庭の端にある大きな木。裏側は日当たりいいのに、人目につかない絶好の場所で気に入っている。
「へ〜。こんな所にいい場所あるんだね。」
「ここ死角なんだ。でも内緒だからな。」
「うん わかった。誰にも言わない。」
真面目な顔で頷く大崎。
そんなに重要な事言ったつもりはないんだけど。
並んで座り、ガサガサと袋からパンを取り出す。
「それって 超熟カレーパン?」
「ん? あぁ。」
「うわ〜 いいな〜 私食べたことないんだよね〜。」
「なんなら食うか?」
「いいの?」
「お前のと交換でな。」
大崎の弁当を取り上げ パンを渡す。
「……残りものだよ?」
「パンよりいいだろ。」
玉子焼きを口にほうり込む。
「どう?」
「ん?美味いよ?」
「よかった〜!」
安心したのか、カレーパンを頬張りだした。
「これ 美味しい!」
「そうか?」
「うん! やっぱり人気あるだけの事はあるね!!」
俺としては こっちの弁当の方が美味いんだけどな。