説明出来ない想い
学校でのあいつとの繋がりって、バイトの日の帰り道と授業中こっそり話すくらいなんだよな。
それからたまに気を効かせて、女子から助けてくれる時とか。
あとは…… 何かあったっけ……?
そうだな…… ……なにもない。
つながりなんて。
俺にとって一番近いのに、大崎にとってはただの同級生と変わらない。
今まで気付かなかった事に気付く。
気付かなかったというより、俺の意識の変化なんだろうけど。
気になり始めると、少しでも相手の事が知りたくなって……。
(しかし学校では、見事に接点ないなー)
同じクラスでしかも隣の席だというのに、朝から挨拶しかしてないぞ?
昼休み 購買帰りにパンが入った袋を弄びながら呆れ返った。
それだけ 大崎が気を利かせてくれてるんだろうけど。
さて。取り巻きに見つかってない事だし、ゆっくり昼メシでも食うか。
階段を昇るか、このまま外に出るか。
つまりは屋上か庭か。
庭の方が見つかる確率が低いなと歩き出そうとすると、頭の上から黄色い声が降ってきた。
「佐伯クン、ひど〜い!今日は私とお昼食べる順番!」
(ゲッ!早速見つかった!俺には静かな時間はないのか!)
「あ、ゴメン!ホント、今行こうと――」
一瞬で顔を作り振り返ると、ニヤニヤ笑う大崎が立っていた。