勘違いの海

瑛Side

大崎は独り言をブツブツ言い続けている。
姫条という男は、笑いながら見つめていたが、ふと俺に目を向けた。

「天音ちゃんは やっぱ美奈子ちゃんと似とるわ。サエキクンも苦労するやろ?」
「僕が……ですか?」
「んー まぁ 今はわからんでも そのうち嫌っちゅーほど わかるで?」
「はぁ……。」

(どういう意味なんだ?)

考えていると いつの間にか運ばれてきた料理を もの凄い勢いで二人は食べ始めていた。

(なんなんだ こいつら。つーか 鈴鹿とかいう奴 さっきから喋ってないし!)

呆気にとられて見ていると、いつの間にか意識を戻した大崎が笑っていた。

「佐伯くん?早く食べないとなくなっちゃうよ?」
「あ あぁ。それにしても……凄いな。」
「でしょ?」

「自分の分は確保しないと無くなっちゃうんだよ?」と取り皿に分けて渡してくれる。
のんびりと食べていると、さっさと食べ終わった二人が 伝票を持って立ち上がった。

「よし。姫条!もうひと勝負な!」
「食ったばっかやん!ほなら 俺ら行くわ。ここの勘定はお兄さんにまかしとき。あと サエキクン 天音ちゃん頼むわな。」
「じゃあな!」

ヒラヒラと伝票を振り出ていく二人。

(いったいなんだったんだ?)

俺の気持ちを察してか 大崎が苦笑いで謝ってきた。

「佐伯くん ごめんね?なんか 嵐みたいな人達で。」
「いや。それはいいんだけどさ。しかし いつもあんな感じ?」
「うん。あんな感じ。」

詳しく聞くと 大崎のいとこも、あの二人もはば学出身者。
正直びっくりする。見た感じでは そうは見えなかったから。
ただ 大崎の事は 可愛がってるんだな……と思った。

「あっ!佐伯くん!私そろそろ戻らないと!」
「俺も戻る。」
「いいの?休憩短くなっちゃうよ?」
「今からは 暇だから平気。」
「そっか。あとちょっとよろしくね?」
「あぁ。」

こいつの人懐っこさとか 素直さって あーいう奴らが周りにいたからなんだろうな。そんな気がした。
prev 7/9 next

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -