勘違いの海

瑛Side

「大崎さん、さっきの二人組と飯食ってるけど知り合い?」

そんな事を言われて、覗くと大崎の背中が見える。

(なにやってんだ、あいつ)

小さく舌打ちすると、耳聡く聞き付け「先に休憩行っていいよ? もう落ち着いたし」と厨房を追い出された。

(知らん顔するわけにはいかないよな)

ため息をつきながら、大崎がいるテーブルに近づく。

「大崎、知り合いか?」
「うん。そうなの。姫条くんと鈴鹿くん」

どう見ても、この二人いくつか年上だよな。
姫条と言われた方は、チャラチャラしたナンパ風な男。もう一人の鈴鹿と呼ばれた方は、どう見ても体育会系。どんな関係なんだ?

「自分も休憩なんやろ? 一緒に食わへん?」

姫条とかいう奴が、にやっと笑って大崎の隣を指差す。

(なんで 俺まで?)

そう思わない事もないが ちょっと気になるから 黙って席についた。

「もしかして 二人だけで来てるの?」
「うわっ それやと寂しい男二人組みたいやん。 このバカズマが泳ぎたいって言うんや。」
「バカとは何だ!」
「鈴鹿くんは、いつ帰ってきたの?」
「あ? 昨日。」
「昨日の今日やで! アホやろ?」

なんか すげー馴れ馴れしい奴。もう一人の方は なんか凄い勢いで注文してるんだけど。

(……テーブルに料理あるんだけど、まだ食うのか?)

その光景を大崎と姫条とかいう奴は 特に気にもせず話している。

「もしかせんでも オニューの水着?」
「……美奈ちゃん 言ったの?」
「めっちゃ楽しそうに電話してきたわ。選んだんは、葉……」

言いかけた口を 大崎は塞いでいた。

「も〜〜! 美奈ちゃん そんな事まで言ってるの?」
「ぶはっ! 苦しいって!俺を殺す気なん?」

大崎は、「あはは ごめんね?」と笑っている。

「で、自分。サエキクンやろ?」

なんで 俺の事?見れば 大崎も かなり驚いている。

「美奈子ちゃんが 教えてくれたんや。最近 天音ちゃんにサエキクンって彼氏できたって。」

(………は?彼氏? 誰が?)

一瞬の思考停止の後 隣にいる大崎を見る。
俺より長い思考停止の後、突然立ち上がる。

「なんで? 美奈ちゃん 佐伯くん知ってるの?」
「そこまでは聞いてへんけど、かなり盛り上がっとるで?」
「……マスター言ったんだ。」

座り直した大崎は、ブツブツ言っている。

……お前さ、気にするとこはそこじゃないと思うんだけど。
prev 6/9 next

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -