勘違いの海

天音Side

まさか こんなところで二人にあうなんて。

(世の中ってせまいんだねぇ)

そんな事を考えながら エプロンを外す。
パーカーを羽織りながら 裏口から外に出た。
やっぱり 外は空気がいい。暑いけど 海の香りと波の音 それにたくさんの笑顔。

(これで泳げたら 最高なんだけどな〜)

でも 海は海。気持ちいいのには 変わりないもんね?
それに、せっかく二人に会えたんだし どうせなら一緒にご飯食べちゃおうと表に回り込む。

「姫条くん! 鈴鹿くん!」
「ん? 天音ちゃん。もしかせんでも 休憩になったんか?」
「うん。一緒にご飯食べていい?」
「おう!座れ。んで食え!」
「お邪魔しま〜す。」

二人の向かいに座る。
なんで 仲良く並んで座ってるのだろうとは思ったけど。

「天音ちゃんは、夏中ここでバイトなん?」
「ううん。今日だけお手伝いなの。」
「それで会えるんて、めっちゃ偶然やん。」
「ほんとだよね〜〜!」

にこにこ笑う姫条くんにつられて、私も笑う。

「あ! トロピカル焼きそばだ!これ気になってたの!」
「そうなのか? なら食え!」

鈴鹿くんは、お皿をずいっと私の前に差し出してくれた。

「ありがとう。いただきます!」

ソースの香ばしい香りが鼻を擽る。
一口食べて思わず呟いた。

「美味しい……。」

やっぱり佐伯くんってすごいな。
喫茶店向けだけじゃなくて、こういうのも出来るんだ。
お菓子も作れちゃうし、ここまでくると男の子にしておくのも 勿体ないよね。
本人がいないのをいいことに、チョップされそうな事を考える。

「天音、どうかしたか?」
「ん〜? なんでもない。美味しいよね?」
「あぁ。もっと頼むか。」

メニューとにらめっこを始めた鈴鹿くんは相変わらずで 姫条くんと苦笑いした。
prev 5/9 next

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -