「……もしかして、それを考えてたんですか?」
「他に何を考えるのよ」
「いや。突然来たんだから、他にもいろいろあるかと。」
「あんたが連れて来たんでしょうが」
「まぁ そうなんですけど……」
「まったく 頼りないわね。光輝だっけ?あんたいくつよ?」
「26になりました」
「26?年上なの?頼りなさすぎでしょ」
「よく言われます」
「もしかして 私が初めてのお客だったり?」
「はい。」
まったく……大変なのに捕まったもんだ。
客を見る目がない。だから 私みたいなのを捕まえたわけか……。
「はーー。仕方ないわね。どうせ予定もなかったし、乗ってあげるわよ。そのかわり アフターフォローはしっかりしなさいよ」
「もちろんです! あの 貴方には ここから近い羽ヶ崎学園に三日後の入学式から通って頂きます」
「わかった三日後ね。とりあえず今日は外に出てみるわ。地理も頭に入れたいし、今までの服は似合わないだろうから一式揃えたいし」
「では帰る時間に連絡下さい。お迎えに上がります。あとこちらで使う携帯を渡しておきますね?短縮0番は私に繋がりますので いつでもどうぞ。では 私はこれで」
「ちょっと待って!」
いそいそ帰ろうとする光輝の首ねっこを掴む。ちょっと気付いた事があった。
「……なんでしょう?」
「私って 今15なのね?」
「はい。そうです」
「って事は お酒呑めないのよね?」
「はい」
「うっわー きついなー。あと!ここが肝心なんだけど」
「はい。なんでしょう」
「なんで こっちに来る時に、この目と髪の色なんとかしてくれなかったの!?」
「何かありますか?」
「この色が嫌なの!目立つじゃん!」
「綺麗ですけど?」
「聞いてた?目立つのがイヤなの!」
「こちらではそうでもないですよ。きっと。では 私はこれで」
これ以上絡まれるのが嫌なのか、そそくさと逃げ出しパタリと扉が閉じられた。
ちっ。
05 トリップするまで