「私、有限会社みちのく夢案内の仲井光輝と申します。貴女のように、人生に不満をお持ちの方々を満足させるのが、私の仕事です」
「最近のタクシー会社は、でかい事言うのねーー」
「本当なんです!貴女は今居るこの世界に来たいとおっしゃった!だから私はお連れしたんです!」
「ここ 私の家なんだけど。それに タクシーなんだから、客が行きたいと言った場所に行くのは当然でしょ」
「確かに貴女の家ですが 違うんです!ちょっと来て下さい」
手を引っ張られ 無理矢理窓辺に連れていかれる。
「外見てください。そうしたらわかりますから」
「外って……」
ベランダに出ると、昨日まで見ていたはずの景色ではなかった。
「なんで 海があるの!!」
少し離れた でもすぐ近くに青く広がる海が見えた。私のマンションは都心にあったはずだ。………昨日までは。
「貴方は、ときめきメモリアルの葉月と佐伯がいる はばたき市に来たいとおっしゃった。だから 私はお連れしたんです。彼等は例外を除いて、すべて同じ年齢です。なので 貴女も同い年になって頂きました」
「ましたって………」
「貴女がお休みの一週間、こちらに住んで頂きます。あちらは一週間ですが こちらは三年間になります。どういう三年間を過ごして頂いても構いません。ですが 三年後の卒業式の日に、元に戻るか 残るか決めていただきます。こちらに残る場合、あちらでの貴女に関する事はすべて消滅します。戻る場合 こちらでの三年間の記憶が消えます。大まかな生活費はこちらから支給されますが、個人的に欲しいものは実費となります。持ってる現金預金は、こちらでも使えます。……かなり長くなりましたが 大まかな話はこんな感じです。なにか ご質問は?」
「……どうやって ここに来たの?」
「今までの話聞いてました?」
「聞いてたけど、そっちが気になったから」
「昨夜 貴女と会話してすぐに 解りやすく言うと、空間みたいなものを越えました。あの タクシーで」
「タクシーで!?」
「はい」
どっかで聞いたような……見たような。何処だっけ……?
「…………」
「あ あの……」
「あぁ!!」
「なっ なんですか!?」
「あれみたいなものね?」
「あれとはっ?」
「あれよ! バック○ゥザ○ューチャー!!やっと思い出した!あの 何度も何度もしつこく再放送する!で、あれよ! コンドリアン……じゃなくて デロリアン!!あんな感じね?」
04 トリップするまで