04 トリップするまで

「私、有限会社みちのく夢案内の仲井光輝と申します。貴女のように、人生に不満をお持ちの方々を満足させるのが、私の仕事です」

「最近のタクシー会社は、でかい事言うのねーー」

「本当なんです!貴女は今居るこの世界に来たいとおっしゃった!だから私はお連れしたんです!」

「ここ 私の家なんだけど。それに タクシーなんだから、客が行きたいと言った場所に行くのは当然でしょ」

「確かに貴女の家ですが 違うんです!ちょっと来て下さい」

手を引っ張られ 無理矢理窓辺に連れていかれる。

「外見てください。そうしたらわかりますから」

「外って……」

ベランダに出ると、昨日まで見ていたはずの景色ではなかった。

「なんで 海があるの!!」

少し離れた でもすぐ近くに青く広がる海が見えた。私のマンションは都心にあったはずだ。………昨日までは。

「貴方は、ときめきメモリアルの葉月と佐伯がいる はばたき市に来たいとおっしゃった。だから 私はお連れしたんです。彼等は例外を除いて、すべて同じ年齢です。なので 貴女も同い年になって頂きました」

「ましたって………」

「貴女がお休みの一週間、こちらに住んで頂きます。あちらは一週間ですが こちらは三年間になります。どういう三年間を過ごして頂いても構いません。ですが 三年後の卒業式の日に、元に戻るか 残るか決めていただきます。こちらに残る場合、あちらでの貴女に関する事はすべて消滅します。戻る場合 こちらでの三年間の記憶が消えます。大まかな生活費はこちらから支給されますが、個人的に欲しいものは実費となります。持ってる現金預金は、こちらでも使えます。……かなり長くなりましたが 大まかな話はこんな感じです。なにか ご質問は?」

「……どうやって ここに来たの?」

「今までの話聞いてました?」

「聞いてたけど、そっちが気になったから」

「昨夜 貴女と会話してすぐに 解りやすく言うと、空間みたいなものを越えました。あの タクシーで」

「タクシーで!?」

「はい」

どっかで聞いたような……見たような。何処だっけ……?

「…………」

「あ あの……」

「あぁ!!」

「なっ なんですか!?」

「あれみたいなものね?」

「あれとはっ?」

「あれよ! バック○ゥザ○ューチャー!!やっと思い出した!あの 何度も何度もしつこく再放送する!で、あれよ! コンドリアン……じゃなくて デロリアン!!あんな感じね?」

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