04 喧騒の中の静寂

「ねぇ、はるひ。あとどのくらい必要なの?」
「そうやなぁ……結構作ったと思うんやけど……」
「オイオイ。考えなしで作らせてるんじゃねぇだろうな?」
「そ、そんな事あるわけ……あははは!」

折った薄紙とは違い完成された花は嵩張るもので、よくよく考えれば、ここから学校までどうやって運ぶのかという疑問が浮かぶ。
全員が同じ事を頭に浮かべたのか、一斉にはるひを見つめた。

「とっ、とりあえずお茶にせぇへん?お菓子も買った事やしな!」

図星だったらしいはるひ。大慌てでコンビニの袋からいくつものお菓子を取り出してテーブルにひっくり返す。
容易に想像できるこの後の大変さを逃避しようとする為か、それぞれが好きな袋やら、佐伯がここまで運んだらしい飲み物が入ったグラスに手を伸ばしていた。

「オイ。まんじゅうなんて買ったの誰だよ」
「俺だ」
「テメェはじじいかよ。じゃあ、こっちのさきいかは……」
「あ、それは私」
「こっちはオヤジかよ……」
「あら。美味しいわよ?手も汚れないし」

それぞれが好きなものをつまみながら、とりあえず手は動かす。
開けっ放しの窓から入る風が一つ二つと花を転がし、それに気付いた誰かが袋や箱に詰める。
実にのどかな光景だ。

「それで……これ、どうやって運ぶの?」

あかりちゃんの至極当たり前の質問。
ここにいる全員が避けていた事実。
ずらりと並べられ積み上げられた箱や袋の前に立ち尽くす。

「そうだな……持てるだけ持って歩く」
「だりぃ……」
「同感…」

針谷と佐伯の感想に私も同意。
ただの紙なんだからひとつひとつは重くはないけれど、膨れ上がったそれを持って歩く姿を想像するだけでゾッとする。
もっと簡単に運べる方法は……と、そこでひとつ思い付いた人物がいた。

「あ。ちょっと待って?適任者がいるかも」

持てるだけの袋をぶら下げるはるひの肩を叩いて制し、ダイニングテーブルに置いたままの鞄から携帯を取り出す。
短縮で呼び出すのはこういう時に便利な相手。

「あ、もしもし?私。あ、うん。ちょっとお願いがあるんだけど……」

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