13 秋の芝生はまだまだ青い

「……百面相…。」
「は?なに笑ってんのよ。あんたがさせてるんでしょうが。で?このままずっと歩いてるの?」

人が真剣に考えているのに肩を震わせる葉月。
ガキのくせに、妙に落ち着き払ってるのがムカつく。
いや、今の私は同い年なんだけども。
だからこそ、腹が立つ。まるで私の精神年齢が、この時から成長してないみたいじゃないの!

「そうだな。…少し休むか、あっちで。」

さりげなく。本当にさりげなく。左手を取られて遊歩道の分岐を左に曲がる葉月。

この余裕、いったいなんなんだろう。本当に15の子供なんだろうか。

遊歩道から先は一面に広がる緑の絨毯。広大なわりには手入れが行き届いていて、夏の陽射しを浴びて成長した芝が真っ直ぐ空を向いている。
もっと早い時期ならば座り心地がよさそう。
足の裏やら、足首やらにしっかりとした草の感触を確かめながら、葉月に導かれるまま進んで行く。

「この辺りでいいか…。」

おもむろに足を止める葉月が、私の手を引きながら座り込んだ。
辺りには顔が分からないくらいの距離で人がいるだけだ。

「あんた。まさかこのまま昼寝でもするんじゃないでしょうね。っていうか、顔、焼けるわよ?いいの?」

仕方なく隣に座った私を確認してからごろりと横になる葉月。
顔だけ焼けたモデルなんて…本職じゃないとはいえ無防備にも程がある。
いや、私が心配しても仕方ないし、関係ないんだけども。

「あんまり焼けた事ない…。」
「ふーん。キメ、細かそうだから、赤くなるタイプなのかしら…?」

思春期の男のくせに、ゆで卵を剥いたというか、赤ん坊の、
というか。
つるんとした白い肌に、無意識のうちに指を伸ばす。
人差し指で頬を撫で上げると少しだけ、よく見れば分かるくらいに少しだけ目が見開いた。

「あ、ごめんごめん。ついね、なんかもう女の敵って感じの肌だからさ。」

さすがの葉月もこれには驚くか。
まぁ、いきなり触り出す女なんて怖いわよね。

触れていた頬からゆびさきを離す。
引っ込めようとしたその時、すっと影が動いた。

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