24 思わぬ出会い

自分だって一般的な瞳の色じゃないが、彼は雰囲気と瞳の色がぴったりと合っていると思う。
見つめあった緑の瞳が数回瞬きをして我に帰る。

「この日って断言は出来ないけど来るつもりよ?ここのコーヒーは好きだし。」

「……そうか。」

「話相手が来るなんて安心しないでよ?ちゃんと友達作りなさいね?」

まったくその気もない相手に毎回同じお説教をする。こういう人間が1人でもいれば少しは違うだろう。

私にとっての洋子みたいに。
今頃洋子はなにしているんだろう。

こっちとは時間の流れが違うんだから、まだ別れた次の日のままなのだろうか。
自分はこんなに懐かしいというのに、相手はついさっき別れたままなんて変な感じ。
それがつい表情に出てしまっていたのだろう。葉月が興味深げに私を覗き込んだ。

「……楽しそう。」

「あ?あぁ、ちょっと思い出し笑い。」

「……何を?」

「こっちに来る前の友達がね、今頃なにしてるんだろってね。」

友達?とオウム返しのように聞き返す葉月に、『そう、友達。』とオウム返しで返す。

珍しくその先を聞きたがる葉月に、やっぱりこの人もそんな誰かが欲しいんだろうな、なんて思う。

1人じゃ寂しいもの。

短い付き合いだけど、この人は普通の人以上に人を求めている。すべてを受け入れてくれる、そんな人を。
主人公ちゃんが、そんな人になってくれるといいんだけど。
彼女との付き合いが、この人の世界を広げてくれるといいんだけど。
私に洋子がいて、彼女のおかげで救われたように。
学生らしい夏休みを送る事を葉月に約束させて家に戻る。

なんだかんだと慌しくもう3ヵ月が過ぎてる。佐伯やあかりちゃんが大騒ぎしてるからそんなに寂しくはなかったけど……。
それでも洋子以上の関係になんてなれないし。

……やば、酒も飲んでないのにちょっと感傷的。

出会ってからこんなに離れていた事なんてないからなー。
どうせなら、洋子も連れてきたらよかったかも。そうしたら、もう1回一緒に学生出来たし、あの頃と違って楽しめたんだろうけど。
葉月にあんな話なんてしたからこんなに感傷的なんだ、と苦笑いしながら冷蔵庫からミネラルウォーターを出す。
お酒でも飲んで寝ればあっという間に眠れるんだけど、仕方ない。

……でも、いまさら未成年ってホント不便よね

深く溜め息をつきながら、一人で眠るのには広すぎるベットに潜り込んだのだった。

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