23 思わぬ出会い

根掘り葉掘りと聞きかながら、情報収集する私。
主人公ちゃんに興味津々だ。

葉月の話では、あかりちゃんと違ってのんびりふんわりした感じだけど油断は出来ない。
あかりちゃんだって、第一印象はそんな感じだったもの。

「で? もうデートくらいしたんでしょ?どこに行ったの?」

「……デート?」

「そう、デートよ……って、もしかしてまだ一緒に出かけた事ないの!?」

もう入学して3ヶ月たつというのに! 
私が主人公やってる時なんて、すぐ服買いに行って速攻で誘っていたというのに!

何の事だろうとでも言いたげにきょとんとする葉月に心の中で主人公に叫ぶ。

なに暢気な事やってんの! どんどんアピールしなさいよ!そしたら私に懐く事もないんだから!この人だけはカッコよくていいイメージのままでいさせてよ!

すっかり定位置になったアルカードの奥の席、向かい合わせに座っている葉月に詰め寄って襟元を掴んでグイッと引き寄せる。

「いい? もうすぐ夏休みなんだからデートくらい誘いなさい。花火大会なり海なり出かける場所なんてそこらじゅうあるでしょ?」

「……どうして誘わなきゃならないんだ?」

「どうしてもこうしてもないの。いい若いもんが、どこにも行かないで引きこもってどうするの!後から後悔しても時間は戻らないのよ?いろいろ経験しときなさいよ?」

なんだか年寄りのような説教をして葉月を解放する。
でも、ちょっと強引にでもハッパかけないと、違うキャラにかっさらわれそうなのんびりさだ。

「……もうすぐ夏休み、か。」

さも今気付いたかのような顔で呟いた後、口元に手をあて何か考え首を傾げる。

こういう仕草は反則。可愛すぎる。……男に可愛いってのはどうかと思うけど。

「城峰はどこかに出かけるのか?……夏休み。」

「そうねぇ〜、そういえばそんな事も言ってたわねぇ〜」

はるひが盛り上がってたっけ。女3人で食べ歩きだの、買い物だのって。

1人であちこち出かけてないから、ちょうどいいかって思ってたんだけど。
新たなコーヒーの美味しい店を発掘できるかもしれないし。

「……誰と?」 

「ん?女友達、学校の。って、関係ないでしょ。」

「……ここにも来るんだよな?」

独特な瞳の色でじっと見つめられると少し怯む。

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