15 思わぬ出会い

月曜は一番憂鬱。休み明けって、身体がだるくて仕方ない。
それに、昨日は一日中佐伯の相手してたし……。
夕方やっと開放されて、アルカードで飲んだコーヒーの美味しかったこと。まぁ、面白いものが見れたのはよかったけど、休みはやっぱり自由にのんびりしたい。

学校でも、妙にテンションの高い佐伯がいて…… それを見たあかりちゃんが「佐伯くんの様子が怪しい」と勘繰るし。

あの子の嗅覚って、野生児並みなんじゃないかと思う。

昨日の事を佐伯が言ったらどうなるんだろうか……。それであかりちゃんが佐伯を意識してくれたらいいけど、そうじゃなかったら……。

まぁ、これ以上ややこしくならなければいいんだけどね。

平日に行くのはリスクが 大きいのは分かってるけど、月曜だったら大丈夫だよね?
これがあるから、ゆっくりと美味しいコーヒーが飲みたい。
ちらりと鞄を見つめて溜め息をつく。
そして、扉を開けた。

「いらっしゃい、昨日も来たのに平日に来るのって珍しいね。」

「家で飲むコーヒーは、相変わらず美味しくなくて。」

「その方がウチは助かるんだけど 。今日もエスプレッソ?」

「いえ、今日はゆっくりしたいのでブレンドで。」

マスターと話しながらカウンターに座る。
いつもだけど、私が来る時間帯はテーブル席が空いていることがない。
もう諦めたけど。

鞄の中から一冊の本を取り出すと、鞄は足元へ置く。とりあえず、少しは読んでしまわないと。

「これ!鈴香も読どき?なんや 、あんたは恋愛に冷めとるであかんのや。」

と、はるひから渡された本。
明日読んだところまでの感想を言わなきゃならないらしい。冷めてるのは確かだろうけど、そういう話にならないのは、身体が15になっているからって、頭の中まで15になっているわけじゃない。

ただそれだけの事。

ご丁寧にブックカバーが掛けられている表紙を開く。
タイトルは「永遠の愛をキミに。」なんてベタなタイトル。
もうすでに読む気さえ起こらないが、ぱらりと捲って、目次に目を通す。
なんとなく展開の読める題名、「衝撃」だの「逃避行」だの。
あらすじだけ目を通したらダメかな。……ダメだろうな。はるひなら、あらすじまで覚えていそうだ。

「おまたせ、今日は読書?」

「ええ、ちょっと長居するかも。」

「どうぞ、どうぞ、ごゆっくり。」

仕方ない、少しだけでも読んでおくか。
後からブツブツ言われて、面倒な事が増えたらたまんない。こういうジャンルって苦手なんだよね。

ツッコミたくなる要素が満載って感じ。ベタな出会いといい、この展開といい。

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