頭の中でいろいろ考えてそう結論付ける。
「……って思ったわけよ。」
「ちょ!全然分かんないから!」
「考えたんだけど、説明するのが面倒になったから……。」
「そんなんじゃ納得出来ないだろ!」
そりゃそうだ。だけど、ゲームでは……、なんて説明出来るもんじゃないし。困ったな、どう言えば無理なく説明出来るんだか。
「ほら、初恋って忘れられないじゃない。例えば、この先私と佐伯の関係が恋愛に発展したとして事あるごとに初恋を持ち出されたら堪んないわけよ。」
「俺はそんな事しない!鈴香以上に好きになるヤツなんか出来ない!だから大丈夫!」
「いや、今のは例え話だから。それで……なんだっけ?」
「海野の話だろ!」
「あ、そうそう。だから、初恋はそれくらい大事なんだから、まずそっちに走ってみたら?って事よ。盛り上がるかもでしょ?」
ダメだ、上手く説明出来てないじゃん。
あかりちゃんとの関係がイマイチよく分からないだけに、『好きなんでしょ?』とハッパを掛けることもできないし。
「……鈴香は初恋を忘れられないのか?」
「は?それって話すり替わってない?」
「だってそうだろ。経験談だからそう言うんじゃないのか?」
そう言うわけじゃないんだけどな。
これはゲームの中の佐伯がそうだからだったんだけど。
でもまぁ……一般的には忘れられないものかも、初恋って。自分の初恋なんて遠い昔だし、そんな衝撃的とか印象深いものでもなかったけど。
「忘れられないって言うか、いい思い出……かしら。私の場合。」
「今でも好きで、付き合いたいとかは?」
「うーーん、それはないわね。幸せそうで微笑ましいとは思うけど。」
「なら、俺にだってそう言えるんじゃないのか?」
げっ、しまった!
本気で初恋の相手を思い浮かべて、普通に思ってることを口に出してしまった。
ここは、『そう、初恋って忘れられないの。』って答えるべきだった!
佐伯は一人頷きながら何事か呟いている。
やっぱり私ってこういう駆け引きに向いてない、つい本音が漏れるんだ。
08 思わぬ出会い