04 思わぬ出会い

まったく……。なんなのよ。この、ほのぼのとした雰囲気は。

目の前は青い海。さらさらの砂浜。
そして、どこからか流されて来たであろう流木に座る私と佐伯。

「はぁー。やーっぱ気持ちいいな!」

「そう……。よかったわねぇ。」

「なんかさ、こうやってると二人っきりって感じしないか?」

「え? ……周りには誰も居ないんだし、二人きりなんじゃないの?」

右を見ても左を見ても、人影なんてない。

何バカな事を言ってるんだろう。……今に始まった事ではないんだけど。

「そうじゃなくて! なんかこう、この世界に二人っきりみたいだなーなんてさ。」

「…………は!?」

―――バカな事じゃなくて、本物のバカだった!

「だってさ!誰も居ないし、静かだし!」

「そんなの、ここだけじゃないんじゃ…」

「いいだろ。俺はそう思いたいの!」

え?何? 突然の絶妙なツンデレ。しかも、顔は真っ赤。

「……ぷっ。ふふ… あはははは!」

ここに来て初めて見たよ。このツンデレ。
ツンデレって言葉も、初なんじゃ……?

「なっ! なんだよ!突然!」

「あははは! いや、なんかこうさ!懐かしいものを見たって言うかさ。」

「いっ、意味分かんないし!つーか、肩叩いたら痛いから!」

なんで急にキャラ戻ってるのー?コイツ面白すぎる!!
って言うかさ、今までの佐伯はいったい何だったわけ!?

ひとしきり佐伯を叩き続けて大笑いする。ここまで笑ったのって、人生初かもしれない。

「はー。面白かった! 明日は絶対筋肉痛だわねー。もー、そこらのお笑い芸人より、アンタの方が何倍も面白いわね。最高。」

「最高!? それって、俺の事が好き――」

「だから、それは違うってば。都合のいい変換ばっかしないの!」

「あのさぁ、毎回そこまで否定しなくていいだろ。」

ムスッと言うと、そっぽを向く。
ぶっ!またツンデレだ!
いかん。これはハマるかもしれない。実際に目の前にすると、面白すぎる。
さすがに大笑いするのは失礼かと、佐伯が居る反対側を向いて笑いを噛み殺す。

「……笑ってるの分かってるから。」

「ごめ……。止まんなくて…… ぶくく。」

「もう、いいよ! ほら、行くぞ!!」

「ぷっ!くくっ。どこに行くのよ。」

手を引っ張られ、よろめきながらも後に続く。
もう、佐伯が何を言っても笑いが出て仕方がない。

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