まったく……。なんなのよ。この、ほのぼのとした雰囲気は。
目の前は青い海。さらさらの砂浜。
そして、どこからか流されて来たであろう流木に座る私と佐伯。
「はぁー。やーっぱ気持ちいいな!」
「そう……。よかったわねぇ。」
「なんかさ、こうやってると二人っきりって感じしないか?」
「え? ……周りには誰も居ないんだし、二人きりなんじゃないの?」
右を見ても左を見ても、人影なんてない。
何バカな事を言ってるんだろう。……今に始まった事ではないんだけど。
「そうじゃなくて! なんかこう、この世界に二人っきりみたいだなーなんてさ。」
「…………は!?」
―――バカな事じゃなくて、本物のバカだった!
「だってさ!誰も居ないし、静かだし!」
「そんなの、ここだけじゃないんじゃ…」
「いいだろ。俺はそう思いたいの!」
え?何? 突然の絶妙なツンデレ。しかも、顔は真っ赤。
「……ぷっ。ふふ… あはははは!」
ここに来て初めて見たよ。このツンデレ。
ツンデレって言葉も、初なんじゃ……?
「なっ! なんだよ!突然!」
「あははは! いや、なんかこうさ!懐かしいものを見たって言うかさ。」
「いっ、意味分かんないし!つーか、肩叩いたら痛いから!」
なんで急にキャラ戻ってるのー?コイツ面白すぎる!!
って言うかさ、今までの佐伯はいったい何だったわけ!?
ひとしきり佐伯を叩き続けて大笑いする。ここまで笑ったのって、人生初かもしれない。
「はー。面白かった! 明日は絶対筋肉痛だわねー。もー、そこらのお笑い芸人より、アンタの方が何倍も面白いわね。最高。」
「最高!? それって、俺の事が好き――」
「だから、それは違うってば。都合のいい変換ばっかしないの!」
「あのさぁ、毎回そこまで否定しなくていいだろ。」
ムスッと言うと、そっぽを向く。
ぶっ!またツンデレだ!
いかん。これはハマるかもしれない。実際に目の前にすると、面白すぎる。
さすがに大笑いするのは失礼かと、佐伯が居る反対側を向いて笑いを噛み殺す。
「……笑ってるの分かってるから。」
「ごめ……。止まんなくて…… ぶくく。」
「もう、いいよ! ほら、行くぞ!!」
「ぷっ!くくっ。どこに行くのよ。」
手を引っ張られ、よろめきながらも後に続く。
もう、佐伯が何を言っても笑いが出て仕方がない。
04 思わぬ出会い