03 思わぬ出会い

それで、今日はどうするんだろう。
こんな所にいつまで突っ立ってるんだか。

「……で、行きたい所でもあるの?」

「あぁ、そっか。じゃあ行くか!」

慌てたような佐伯が私の手をとる。


……だから、それってバカップルみたいだから嫌だったんじゃないの?
文句を言うのも面倒で、そのままにやりたいようにさせる。公園方向に向かっているようだ。
やっぱり煉瓦道とかなんだ。
この後、あのデート3択があったりして。
そんな話があったら、全部反対を答えてやったら面白いんじゃない?
ひそかに考えていたら、煉瓦道とはなんとなく違う方向のような気がする。

「つかぬ事をお聞きしますが……。今日はどこに行くのでしょう?」

「俺さ、海が好きなんだ。だから散歩しようかと思ったんだけど……。」

「……なるほど。散歩……ね。分かった。」

散歩ってさ。……冬限定だったわよね?
また ゲーム無視なんだ……。
もういっそアッパレよね。ここまでいくと、攻略本なんてまるっきりアテにはならない。
まぁ、恋愛にマニュアルなんてないから楽しかったり不安になったり、いろいろな感情があるものなんだけど……
隣にいる佐伯の横顔をちらっと盗み見る。

―――この男と恋愛がしたいわけではない、絶対に。

どんなに顔がよかろうとも、プリンスと呼ばれていようとも、こんな直球勝負以上のおバカは嫌だ。

「―――俺さ、子供の頃から海が好きなんだ。」

「あぁ……。そう。ここは綺麗よね。」

「だろ? 俺、ここの海が一番好きだ。」

そう言いながら、青く光った海を眩しそうに目を細めて見つめる。
多分、今の私達は端から見ればカップルでかなりいい雰囲気なんだろう。

しかし……。今の会話にどう反応しろと?

本来こういう会話を交わすのは、私じゃなくてコイツの人魚である、あかりちゃんなわけで……。

―――なんか頭痛くなってきた。

ここまでいろいろ考えてたら、会話なんて出来やしない。いったい私はどうしたらいいんだか。
空いた右手でこめかみを揉んでいると、おもむろに佐伯が顔を覗き込んだ。

「頭痛いのか? 大丈夫か?」

「あー。そんなのじゃないから大丈夫。こう、いろいろとね。思うところがあるわけよ―――って、顔が邪魔!歩きにくい。」

「心配してるんだろ!―――って!ちょっ!顔押したら痛いって!」

頭が痛い理由はアンタなんだってば!
まったく!鈍いんだから!

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