01 思わぬ出会い

体育祭が終わった次の日は快晴。
せっかくの休みなのに、朝から起きてシャワーを浴びている。

あの後かなり長い時間佐伯に説明して、あいつが納得したのは他の生徒も帰り、かなり暗くなってから。

いいと言っているのに、無理矢理送るとくっついて来て、家もばれるし散々な体育祭だった。

そういえば、ここを見上げてかなり驚いてたか。まぁ、高校生が一人で暮らすには、かなり広いしね。
高級マンションの部類に入るんだろうし、驚いても不思議はない。

その後光輝を呼び出したら、ぶっ飛んで来た。さすが対応が早い。
パラパラと資料らしきものをめくりながら、ニコニコと話す。

「あぁ、家族構成ですか? とりあえず両親は、仕事で海外です。ありきたりですが、外資系の商社マンといった感じですね。」

「感じ、でいいの? なんか適当なのね。」

「まぁ、『両親は海外赴任で〜』って言えば、そうそう突っ込んでくる事はないそうです。それで、私とはどういう関係にします?」

「その声色気持ち悪いから。それに、なんで光輝との関係が必要になるの?」

『両親は〜』を裏声で女子高生風なイントネーションで話すから、軽く突っ込む。それにしても、光輝との関係を決めなきゃいけない理由が分からない。

「たまにでも出入りしますからね。誰かに見られた時のために、一貫性のある答えを用意しておかないと。」

「そんなの最初に言ってよ。私はなんでも構わないけど……。兄弟には無理があるわね。」

「まぁ、私と貴女では顔のジャンルが違いますからねぇ。じゃあ、親戚とでもしときましょうか?」

コイツ、時々遠慮なしで言うんだよね。そりゃあ、系統が違うのは当たってるんだけどさ。

ジロリと睨むと、失言に気付いた光輝がアタフタとしはじめ、キッチンに向かう。

「そ、そんな感じですかね。え〜っと、夕飯でも作りましょうか。今日は体育祭で疲れたでしょう?」

「ごまかすんじゃないの!それに、なんで知ってるのよ!」

「お客様の情報を把握するのも、仕事のうちですからね。あぁ、相変わらず入ってない冷蔵庫。パスタとかでいいですか?」

聞いているというより、独り言のように言いながら、缶詰を出したりパスタを出している。

まぁ、今日は前みたいな事にならないだろう。なんにもないし。

その後出てきたのは、アサリのスープパスタ。

あんなに何もないところから、料理が出て来る事が凄い。


―――それに美味しいし。


今日は、昼も夜もまとも以上のご飯だわ。
 

なんて事が昨夜あって、今朝シャワーを浴びている途中。

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