16 面白がってるんでしょ?

それにしても……。何?このおかずの多さは!山盛りに盛られているから減らないんだけど。

「鈴香ちゃん、大丈夫?」

「大丈夫じゃない。あんまりお腹空いてないから食べられない。」

「お前、食が細すぎ。ちょっと俺が食べるから、野菜だけは食べろよ?」

「ホンマ、かいがいしいなぁ〜。」

はるひが頬杖をついて佐伯を眺める。もうまったくプリンスの仮面を被る事を放棄したのか、はるひだから諦めたのか鼻歌混じりで油っこいおかずを退けて、あっさりした野菜を載せている。

だからもういらないんだってば。

「昼からはすぐに応援合戦とかあるけど、どうしょう?席に戻る?」

「何か面白そうなのってある?」

「そうだねぇ……。どうかなぁ、鈴香ちゃん見たいのある?」

見せられたプログラムを受け取って、昼からの種目をざっと目を通す。

まぁ、これと言ってないか。応援合戦はちょっと興味あるけど、わざわざ見に行くほど見たいわけでもないし。

これは最後まで適当に時間潰すしかない。校舎の中なら涼しいし、このままここに居てもいいかもしれない。

「最後のリレー!俺が出るんだから!」

「……見なきゃいけないの?」

「見ろ!って言うか見て!」

「え〜?佐伯くん、親衛隊の子達が応援してくれるんだから、私達が見なくてもいいじゃない。」

「海野。俺が言ってるのは鈴香だけだから。」

リレーねぇ……。ホント最後の最後だ。まぁ、お昼もご馳走になった事だし、見てあげてもいいか。時間だけ携帯にセットしておけば、寝過ごすこともない……はずだし。

「分かった。リレーの時間になったら、戻るわ。それまでここで涼んでる、それでいい?」

「絶対だからな?」

「はいはい。ちゃんとアラーム掛けておくわよ。」

「ほんなら、あたしは応援合戦見てくるわ。あかりも行くやろ?」

「え……?私は……。」

「あかん、あかん。要チェックな男の子も出るんやんな?あかりは、あたしと掘り出し物探しやで?」

ちゃきちゃきとお弁当を片付けると、無理矢理あかりちゃんを引き連れて教室を出て行く。


……ヤラレタ。ワザとだな?


出て行く瞬間佐伯にウィンクしやがった。

はるひのヤツ、佐伯側についたんだ。

なんて、迷惑な!

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