それにしても……。何?このおかずの多さは!山盛りに盛られているから減らないんだけど。
「鈴香ちゃん、大丈夫?」
「大丈夫じゃない。あんまりお腹空いてないから食べられない。」
「お前、食が細すぎ。ちょっと俺が食べるから、野菜だけは食べろよ?」
「ホンマ、かいがいしいなぁ〜。」
はるひが頬杖をついて佐伯を眺める。もうまったくプリンスの仮面を被る事を放棄したのか、はるひだから諦めたのか鼻歌混じりで油っこいおかずを退けて、あっさりした野菜を載せている。
だからもういらないんだってば。
「昼からはすぐに応援合戦とかあるけど、どうしょう?席に戻る?」
「何か面白そうなのってある?」
「そうだねぇ……。どうかなぁ、鈴香ちゃん見たいのある?」
見せられたプログラムを受け取って、昼からの種目をざっと目を通す。
まぁ、これと言ってないか。応援合戦はちょっと興味あるけど、わざわざ見に行くほど見たいわけでもないし。
これは最後まで適当に時間潰すしかない。校舎の中なら涼しいし、このままここに居てもいいかもしれない。
「最後のリレー!俺が出るんだから!」
「……見なきゃいけないの?」
「見ろ!って言うか見て!」
「え〜?佐伯くん、親衛隊の子達が応援してくれるんだから、私達が見なくてもいいじゃない。」
「海野。俺が言ってるのは鈴香だけだから。」
リレーねぇ……。ホント最後の最後だ。まぁ、お昼もご馳走になった事だし、見てあげてもいいか。時間だけ携帯にセットしておけば、寝過ごすこともない……はずだし。
「分かった。リレーの時間になったら、戻るわ。それまでここで涼んでる、それでいい?」
「絶対だからな?」
「はいはい。ちゃんとアラーム掛けておくわよ。」
「ほんなら、あたしは応援合戦見てくるわ。あかりも行くやろ?」
「え……?私は……。」
「あかん、あかん。要チェックな男の子も出るんやんな?あかりは、あたしと掘り出し物探しやで?」
ちゃきちゃきとお弁当を片付けると、無理矢理あかりちゃんを引き連れて教室を出て行く。
……ヤラレタ。ワザとだな?
出て行く瞬間佐伯にウィンクしやがった。
はるひのヤツ、佐伯側についたんだ。
なんて、迷惑な!
16 面白がってるんでしょ?