07 面白がってるんでしょ?

「来い、 城峰。」

右手を差し出す志波。なにげに男らしい。
しかし状況が分からない。お題はいったい何だったのか。

「なっ なんで私?」

はるひやあかりちゃんじゃダメなのか。
今 志波の右手を取ったら、隣に居る佐伯が何か言い出しそうで気が気じゃない。
なんで私が佐伯の心配までしなきゃならないのか不思議なんだけど。

「いいから。 ―――来い!」

グイッと腕を引っ張られ その勢いで志波の胸の中に収まる。

―――あ。すっごく筋肉質。

そんな事を暢気に考えてたら、フワリと身体が宙に浮いた。

「ちょっ! 志波!」

「鈴香ちゃん!?」

2人の声に我に返れば有り得ない場所に収まっていた。

【これは何と言う事でしょーか!!志波が城峰さんをお姫様抱っこー!!そして―――!!走り出したーー!!】


その盛り上がるアナウンスに合わせるかのように走り出す。
残されたのは ア然とする3人。

「ちょっ! 自分で走るから下ろして!」

「この方が早い。」

さっきまでの雰囲気とは違ういつもの志波、また単語。

【さぁーー! ナイト志波! お姫様を抱っこしたまま ごぼう抜き! これはトップに並ぶのかぁ?!】

抱き抱えられたまま走ってるのに、案外衝撃も少ないし心地いい。走り方上手っていうか なんか手慣れてる感じ?

「ホントにこのままなの?」

「あぁ。ツライか?」

「そんな事はないけど 重くない?」

「軽い。」

ニヤッと口の端だけで笑う。

走ってるって言うか 競技に出てるんだし、あんまり話しちゃ悪いかと黙って志波の首に腕を回す。

この方が走りやすいだろう。たぶん。

少し目を見開いて小さく笑うと、また加速する。

ホントに早い。

【志波ナイトと城峰姫のペア!!息の合った2人がトップに立ちました!そして―― そのままゴール!!】

最後までノリのいいアナウンス。

志波ナイトと姫って…… なにそれ。って言うか あんた誰なのよ。

「さっさと下ろしてくれないかな。」

「俺はこのままでもいいけどな。」

「私はイヤ。」

「残念。……面白いのに。」

私を下ろしながらボソッと呟く。
またイヤな予感。今度はなんだ。

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